【欧州サッカー】ブラジルで珍しい「魔術」を使わないクラッキ カカのドリブルは「神から授かった」天性のもの
世界に魔法をかけたフットボール・ヒーローズ
【第52回】カカ(ブラジル)
サッカーシーンには突如として、たったひとつのプレーでファンの心を鷲掴みにする選手が現れる。選ばれし者にしかできない「魔法をかけた」瞬間だ。世界を魅了した古今東西のフットボール・ヒーローたちを、『ワールドサッカーダイジェスト』初代編集長の粕谷秀樹氏が紹介する。
第52回は2000年代のミランを代表するミッドフィールダー「カカ」を紹介したい。チャンピオンズリーグを制し、個人ではバロンドールに輝き、ブラジル代表の一員としてワールドカップも制した。非の打ち所がないフットボール界の「聖人君子」は今、何をしているのか。
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カカ/1982年4月22日生まれ、ブラジル・ブラジリア出身 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 敬虔なクリスチャンで、愛読書は聖書、好きな音楽はゴスペル。座右の銘は「神に忠実であれ」。「I BELONG TO JESUS(私はイエスのもの)」というメッセージが記されたTシャツを、ゴール後にアピールしたことすらある。
「無人島に持っていけるものを3つ挙げるとしたら、サッカーボールと聖書、あとはiPadかな」
リカルド・イゼクソン・ドス・サントス・レイチ──。フットボールでの愛称「カカ」は、多くの選手と一線を画している。
ロマーリオやエヂムンドなどの問題児はもちろん、カフーやレオナルド、リバウドといったブラジル代表の常識人も、羽目を外す時はあった。
しかし、カカは常に真面目。他人の神経を逆撫でするような愚行とは無縁だ。メディアにすれば退屈な存在ではある。見出しになるようなコメントは発しない。欲望を理性で抑えられるのは神のご加護なのか、カカが所属クラブやブラジル代表で火種になったケースは一度もない。
カカは、お金にも執着しなかった。2003年夏にサンパウロからミランに新天地を求めた際、880万ユーロ(当時約12億円)もの移籍金をすべて古巣が受け取れるように配慮している。
「私を育ててくれたサンパウロが必要としている」
一銭も受け取らなかったカカの姿勢に感動したミランは、彼のためにもう一度、880万ユーロを用意したという。近年稀に見る心暖かいエピソードである。
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著者プロフィール

粕谷秀樹 (かすや・ひでき)
1958年、東京・下北沢生まれ。出版社勤務を経て、2001年
、フリーランスに転身。プレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、 海外サッカー情報番組のコメンテイターを務めるとともに、コラム 、エッセイも執筆。著書に『プレミアリーグ観戦レシピ』(東邦出 版)、責任編集では「サッカーのある街」(ベースボールマガジン 社)など多数。


















