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大学時代は栗林良吏から豪快弾。身長170センチの「和製アルトゥーベ」平良竜哉はフルスイングでプロへの道を切り拓く (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 NTT西日本は苦戦し、最終的に第5代表決定戦に回った。日本製鉄広畑に勝てば都市対抗出場で、負ければ敗退。まさに天国と地獄に分かれる一戦だった。

 しかも、NTT西日本は2回表に守備陣が乱れ、2失策で2点を失う。暗雲が立ち込めるなか、2回裏の先頭打者に立ったのが4番打者の平良だった。

「点を取られたあとに抑えられると、流れが向こうにいってしまう。どんな形でもいいから塁に出よう」

 2ストライクに追い込まれても、平良は「何としても当てよう」と死に物狂いだった。ヒット性の打球がレフトに飛び、平良は二塁へ。だが、感触も記憶も残っていない。

「もう必死で、来た球に食らいついただけで......。ほとんど覚えていないんです」

 平良の一打で息を吹き返したチームは逆転し、都市対抗への出場を決めた。会社に報告に向かう足取りも軽かった。

「野球部への思いが強い会社なので、部署の人がポスターを作ってくれたり、僕の特集動画を作ってくれたり、応援してくれる思いがすごく伝わってきます。勝っていい報告をして、みんなの笑顔を見ると本当にうれしくなりますね」

批判の声は受け入れる

 都市対抗本戦では2回戦で敗れたものの、平良個人としては打率.500と活躍した。「応援の景色がすごすぎて、あの場所に立っているだけ幸せだった」と平良は振り返る。

 それと同時に、新たな課題も見つかった。

「打ち損じた失投が何球かありました。全国に出てくるピッチャーは、1打席に失投なんて何球もこない。今年は打ち損じせずとらえることを追求していきたいです」

 時に個性的なフルスイングは否定的に見られることもある。そんな話題に入ると、平良は意外なことを口にした。

「批判の声はすべて受け入れるタイプです。今までと違うスタイルのアドバイスを受けたとしても、1回は試してみます。やってみて気づくこともあるので、いいヒントになりますから」

 そう言ってから、平良はこう続けた。

「合わなければ捨てればいいだけなので」

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