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あの北大医学部サウスポーが
「プロ挑戦は今年が最後」という背水の陣 (4ページ目)

  • 井上幸太●文・写真 text & photo by Inoue Kota

 強い決意の裏には、今シーズン使用するグラブに込められた"約束"の存在がある。紺色のグラブの親指には自身の名前ではなく、「MASAYA」と刺繍が施されている。昨シーズン、香川で投手コーチを務めた江村将也(現・東京ヤクルト打撃投手兼広報)から譲り受けたものだ。

「去年、江村コーチに『グラブほしいです』とお願いしたら、『リーグ最多登板を達成したらあげるよ』と言ってもらっていて」

 昨シーズンの登板数は33。チーム最多登板を記録したが、リーグトップの39には届かず。交わした約束を果たすことはできなかったが、江村はグラブを手渡した。かけられた言葉は多くなかったが、三木田はあるメッセージを感じ取ったという。

「昨年、本当に親身になって指導をしていただいたのに、自分は結果で応えることができませんでした。それでも、グラブを手渡してくれたのは『今年こそ頑張れよ』というメッセージかなと......。去年約束した登板数に限らず、ひとつでも多くの項目でリーグ1位を獲る、四国で一番になってNPBに行く。それが一番の恩返しになると思っています」

 四国に来て2年目、今年25歳を迎える。「2年以内にNPBに行く」と挑戦前に決めていたように、結果に関わらず今シーズンを最後にすると決めている。

「去年結果が出ないなかでも、西田(真二)監督は使い続けてくださいました。その経験を今年生かすことができなければ......という気持ちが強いです。年齢的なこともありますし、長く続けるほど指名は難しくなるとも思うので......」

 独立リーガーの生活は恵まれたものではない。昨年は生活を切り詰めるなかで、体重の減少にも悩まされた。

「日々節約するなかで、重要な栄養面までも切り詰めてしまった。今年も支出を抑えるべきところは抑えていきますが、食事や身体のメンテナンスまで切り詰めないように。『今年が最後』と決めた以上は、そういったところで後悔を残さないようにしたい」

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