プロ入りゼロの玉川大に謎の151キロ右腕。来年ドラフト指名はあるか

  • 松本英資●文 text by Matsumoto Hidesuke

 首都大学リーグの2部に所属する玉川大学硬式野球部は、過去に輝かしい実績もなければ、プロに進んだ選手もいない。そんな無名の大学に、来年のドラフト候補になりうる未完の大器がいる。

 選手の名は、山田綾人。186センチ、92キロ、最速151キロの本格派右腕だ。

昨年の巨人三軍との試合で好投し、一躍注目を集めた玉川大の山田綾人昨年の巨人三軍との試合で好投し、一躍注目を集めた玉川大の山田綾人 山田がプロスカウトから注目される存在になったきっかけは、昨年の3月13日まで遡(さかのぼ)る。この日行なわれた巨人三軍とのプロ・アマ交流戦に、山田は先発登板し、6イニングを投げて4安打、5奪三振、1失点の好投を見せたのだ。

 三軍といっても、そのときのメンバーには片岡治大(現在は巨人の二軍コーチ)や、今季ブレイク中の吉川尚輝、若手成長株の和田恋など、名のある選手が揃っていた。そんな格上相手に、右肩に違和感を抱えながら、150キロ近いストレートと多彩な変化球で翻弄。一躍、スカウトからマークされる存在となった。

「普段のピッチングで心掛けていることがあります。常時145キロ以上のストレートを出すことと、変化球でもカウントを稼ぐこと。それができたら100点。あの試合ではその半分程度しかできなかったので、自己採点するなら50~60点ぐらいです」

 そう冷静に振り返った山田だったが、対戦しながらプロの凄さをヒシヒシと感じていた。

「大学生と違い、上位下位を問わず、どのバッターもオーラが凄かった。さすがプロですね。特に、片岡選手のオーラが最も印象に残っています。打席に入った瞬間から集中力がみなぎっていて、ずっと僕から視線をそらさない......恐怖心すら感じました。そのせいか、インコースに攻めづらかった(笑)。幸い、3打席凡退に打ち取ったのですが、片岡選手のような凄いオーラを放つバッターと対戦したのは僕の野球人生で初めてでした」

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