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東海大菅生が日大三に完勝した舞台裏。
綿密なシナリオで早実も標的に (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 松本は当時の対戦をこう振り返る。

「櫻井にいきなりツーベースを打たれましたが、それ以外は抑えられたので自信になりました。強気でいけば、いくら強打の三高でも抑えられるなと」

 6月17日に夏の西東京大会の抽選会が開かれ、お互い順当に勝ち上がれば東海大菅生は準々決勝で日大三と再びあいまみえることが濃厚になった。その時点で、若林監督は「三高戦は松本でいこう」と決めていたという。

「練習試合をするなかで松本が一番安定していたので、最初のヤマは松本でいこうと思っていました。準々決勝からさかのぼって、先発の順番を決めていきました」

 そして松本は、若林監督の期待以上の投球を披露する。時には140キロを超えるストレートに、空振りを奪えるスライダー、フォークを交えて、初回から三振の山を築いた。日大三の津原は、松本の投球を「春の印象よりもずっと良かった」と口にする。

「(高めに)浮く球がほとんどなくて、低めを意識させられました。キャッチャーも徹底的に低めを要求していて、ウチの打線はワンバウンドの変化球を振らされることが多くなってしまいました」

 日大三は春のセンバツ初戦で履正社に敗れた経験から、低めの変化球の見極めをテーマに取り組んでいた。それでも、松本の鋭いスライダー、フォークに対してバットが止まらなかった。

 その背景には、東海大菅生の正捕手・鹿倉凛多朗(しかくら・りんたろう)の計略もあった。

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