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東海大菅生が日大三に完勝した舞台裏。
綿密なシナリオで早実も標的に (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 捕手の鹿倉はなぜ、松本について「8回まで」と進言したのだろうか。本人に聞くと、その意図を明かしてくれた。

「松本の決め球であるフォークが浮いてきて、そろそろ限界だと思いました。でも8回は下位打線からだったので、ここまでなら松本で大丈夫だろうと。中軸と対戦する9回から戸田につないだほうがいいと思いました」

 松本と交代した2年生の戸田は、身長171センチ、体重62キロという小柄な体型ながら、最速140キロを超える速球派右腕である。今夏は東海大菅生のエースナンバーを背負い、ここまで西東京大会でチーム最多の9イニングを投げており、リリーフとしての登板経験もあった。結果的に鹿倉の判断は吉と出て、戸田は手強い3番・櫻井から始まる9回を三者凡退で片付けた。

「戸田を8回から出してボールを見せてしまうより、9回からいきなり出したほうが相手は戸惑うと思ったので。会心の試合ができました」

 東海大菅生にとっては、配球面も継投面もほぼパーフェクトと言える内容で強敵・日大三を退けた。しかも、投手陣は前述したように「5人全員がエース格」という層の厚さを誇っている。この日登板した松本、戸田以外にも、ゲームメーク能力の高い右腕・山内大輔、普段は二塁手として出場するポテンシャルの高い右腕・小玉佳吾、角度のある球筋を武器にする左腕・中尾が控えている。鹿倉は「全員いいピッチャーなので、誰が先発しても初回から飛ばせます」と自信を深めている。

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