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秀岳館のセンバツ快進撃を支えた「オール枚方」出身の選手たち (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

「1日のスイング数のノルマは300回でした。僕は300回振っていましたが、やる人は毎日1000回とか振っていましたね。日本一になるためにはそれくらいしないと……と思っていましたし、チーム内の競争が激しいので『いつレギュラーから外されるかわからない』という危機感を持っていました」

 筆者が体験入部させてもらった当時、部員は3学年合わせて130人もいた。これだけ人数がいれば熾烈な競争になると実感した一方で、指導者は選手ひとりひとりの顔と名前を把握できないのではないか……とも思った。だが、そんな疑念を打ち破るような出来事があった。

 サブグラウンドで準レギュラークラスの選手に混じってノックを受けていたときのこと。筆者が打球を捕り損ねて地べたにへたり込んでいると、怒鳴り声が聞こえてきた。

「コラ~! グラウンドで座るヤツがあるか~!」

 あわてて立ち上がり、声のした方向を見ると、100メートルほど離れたメイングラウンドでレギュラークラスの練習を見ていた鍛治舍監督がニッコリと笑っていた。ふがいない筆者に、拡声器を使ってカツを入れたのだ。

 周囲の選手たちの表情から、それが冗談めかした激励だということをすぐに察知できて安心した。それと同時に「これだけ離れている場所でも監督は見てくれているのか……」と衝撃を受けた。大所帯の控え選手にとっては、「監督が見てくれている」ということだけでも、大きなモチベーションになるに違いない。

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