秀岳館のセンバツ快進撃を支えた「オール枚方」出身の選手たち
秀岳館(熊本)のセンバツが終わった。
今春のセンバツ、花咲徳栄(埼玉)との初戦では、プロ注目の左腕・高橋昂也に10安打を浴びせて6対5と勝利。南陽工(山口)との2回戦では、初回から8得点の猛攻で16対0と圧勝。大阪桐蔭を破ってベスト8に進出した木更津総合(千葉)との準々決勝は、好左腕・早川隆久の前に苦しんだものの、9回2死から2対1で逆転サヨナラ勝ちを収めた。
高松商(香川)との準決勝は延長戦にもつれ込む熱戦となったが、2対4(延長11回)で惜敗。それでもセンバツベスト4という好結果と、強烈な印象を残した春だった。
初戦と2回戦に先発した堀江航平もオール枚方出身だ
多くの野球ファンの間ですでに知られていることだが、秀岳館の躍進の裏には「オール枚方(ひらかた)」というキーワードがある。
秀岳館の鍛治舍巧(かじしゃ・たくみ)監督は、もともと大阪にある中学硬式野球チーム・オール枚方(現・枚方ボーイズ)で指導しており、秀岳館の甲子園メンバーはレギュラー番号を背負う9人中7人がオール枚方出身。中学時代から鍛治舍監督の薫陶を受けた教え子がそろっているのだ。
そして、オール枚方はただの中学野球チームではない。今や中学硬式日本一を争う大会となったジャイアンツカップで優勝4回を果たしている、泣く子も黙る常勝チームなのだ。鍛治舍監督の監督最終年となった2013年度には、中学硬式チームとして初めて5冠を達成した。そのチームから7人が現在の秀岳館の主要メンバーになっている。
今から7年前、筆者は雑誌の企画でオール枚方の練習に一日体験入部させてもらったことがあった。
驚かされたことは数多くある。最初に面食らったのは、その充実した施設面だ。メイングラウンドだけでなく、サブグラウンドが隣接され、別の場所には鳥かご(四方をネットで覆った打撃練習場)、ブルペン、ノックや走り込みなどができる簡易スペース、雨の日でもトレーニングができる屋根付きのクラブハウス、選手にとっては地獄のように思える坂道......。100人を超える所属選手が効率よく練習できる設備が整っていた。
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