秀岳館のセンバツ快進撃を支えた「オール枚方」出身の選手たち (5ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 センバツ初戦の花咲徳栄戦ではこの作戦が奏功。高橋昂の不調はあったものの、追い込まれてからノーステップ打法で粘った末に、甘く入ったボールを痛打するシーンが目立った。追い込まれるまではしっかりと力強く振り切る。このメリハリこそ、秀岳館打線が安定して力を発揮する原動力になっている。

 ところで中学、高校と鍛治舍野球に慣れているオール枚方出身者は別として、高校から指導を受ける選手は戸惑うことはないのだろうか。

 中学時代は武雄市立武雄中学校(佐賀)の軟式野球部でプレーした原田拓実(3年)は、高校に入学するまで鍛治舍監督の存在自体を知らなかったという。

「高校に入学してすぐ『長ぐつを買いなさい』と言われたことが衝撃でした」

 筆者がオール枚方に体験入部した際も、鍛治舍監督は「ウチは雨が降っても槍が降っても練習に休みはありません」と語っていた。さすがに大雨の場合は室内練習になるが、小降りであれば多少ぬかるんでいてもグラウンドで練習するのが鍛治舍流なのだ。

 ノーステップ打法についても、原田は当初「打ちにくくて、『何でこの打ち方をしないといけないんだろう』と思ったこともありました」という。

「でも、やっていくうちに結果が出てきたので、今はもう、戸惑いはありません。ストライクゾーンを広く意識して、甘く入ってきたボールを逆方向に打ち返すことを練習してきました。『1人10球を4周』というバッティング練習なら、1周目は普通に打って、2周目はノーステップ……という感じで1周ごとに変えて練習しています」

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