高校生の投資教育はなぜ始まったのか。ナイキの厚底シューズから見えるもの (4ページ目)

  • 鈴木雅光●構成 text by Suzuki Masamitsu
  • はまのゆか●絵 illustration by Hamano Yuka

お金を稼ぐってどういうこと?

「鈴木君は『お金が好き』って言ったけど、そのお金は自分ひとりで部屋にこもっていて、自然のうちにどこからか入ってくるようなものでは、決してない。世の中、つまり社会の人々と接点を持つことによって、初めて得られるものなんだよ。

よく『俺は自分の実力で稼いでいる』なんて、得意満面に言う人がいるんだけど、これは勘違い。もちろん、ある程度のスキルや実力は必要だけれども、それが何らかの形で世の中の人々の役に立っているから、給料がもらえるんだ。

ユーチューバーだって、自分でカメラを用意して映像を上げるだけでは、ちっともお金にならない。上げた映像を観た人が楽しんでくれて、リピーターになり、再生回数が数十万、数百万に達して初めて、お金を得ることができる。

自分自身で稼いだお金は、君たちが社会と接点を持っている証、と言ってもいいだろうね。そんなことを頭に置いて家庭科の授業に臨むと、金融の勉強も少しは面白くなるかも知れないね」

【profile】
奥野一成(おくの・かずしげ)
農林中金バリューインベストメンツ株式会社(NVIC) 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)。京都大学法学部卒、ロンドンビジネススクール・ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。バフェットの投資哲学に通ずる「長期厳選投資」を実践する日本では稀有なパイオニア。その投資哲学で高い運用実績を上げ続け、機関投資家向けファンドの運用総額は4000億を突破。更に多くの日本人を豊かにするために、機関投資家向けの巨大ファンドを「おおぶね」として個人にも開放している。著書に『教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』『投資家の思考法』など 。

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