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池江璃花子の勇姿に刺激。「本番に強い小堀倭加」が五輪でメダルを狙う (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 池江は1年もの闘病生活が続くなど、東京五輪出場は絶望視されていたが、今年4月の日本選手権の100mバタフライで優勝。400mメドレーリレーの派遣標準記録(57秒92)も突破し、リレーメンバーとして東京五輪出場を決め、奇跡の復活を果たした。間近で見ていた小堀は、その姿に深く感銘を受けたという。

「400m自由形の前にちょうど100mバタフライの決勝があって、『すごいなぁ』『さすがだなぁ』と思いつつ、自分もやらないといけない気持ちになりました。そこでスイッチが入ったんです。じつはその前まで調子が上がらなくて不安があったんですけど、璃花子ちゃんのレースを見て、いけるかもしれないと思えてきたんです」

 池江の頑張りが小堀に力を与えた。その日本選手権で、小堀は女子400m自由形で4分6秒34の学生新記録で優勝。女子800m自由形でも2位に入り、ともに東京五輪標準記録を突破し、代表内定を決めた。

「5年前のリオの時は、五輪に出たいという思いはそこまでなくて、同学年の選手が出ているのを見ても『すごいな』って見ているだけでした。そして今回、五輪出場の内定を決めることができましたが『よかったなぁ』という思いだけでした。三好先生が大会に向けて練習メニューを組んでくれましたし、みんなが応援してくれて......期待を裏切ってはいけないという思いがあったので、安堵の気持ちが強かったですね」

 本番に強い小堀の本領発揮ともいえるが、じつはレース前、かなり厳しい状況に追い込まれていたという。

「大会前は調子が上がらず、ドン底の状態だったんです。でも、会場に入ってからは落ち着いて、自分をうまくコントロールすることができました。集中力はけっこうあるのかなと思いますけど......その集中力がレースの時しか続かなくて、ほかの場面で発揮できないので困っています」

 過去にも同じようなことがあったように、そうした成功体験が今回のレースに生かされたようだ。今は大会本番に向けて強化すべきポイントを明確にして、調整を続けている。

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