松田丈志が語る「北島康介さんから教えられたこと」 (5ページ目)
でも、200mで立石諒にも負けて、メダルが獲れなかったあとは、すぐに気持ちをメドレーリレーに切り替えていました。あのとき、僕も金が獲れなくて悔しかったし、入江も金が獲れなくて悔しくて、康介さんも悔しかった。一方、藤井拓郎は最初からメドレーリレーでメダルを狙っていた。そのみんなの思いがガチッとハマったのだと思います。平泳ぎが康介さんだったのはかなり大きいし、他の選手だったらダメだったでしょう。信頼感があって、『絶対にやってくれる』と思っているから、『俺らも絶対にやらなければいけない』という気持ちになった。みんながひとつに固まった結果が、銀メダルだったと思います。
だから今回、リオの4×200mフリーリレーでも、『俺らなら絶対にやれる』という状況を作らなければいけない。おそらく僕がアンカーになるだろうから、『その順位を絶対に守ってくれる』という信頼感を作らなければと。アメリカは誰がくるかわからないが、中国は孫楊だろうし、イギリスはジェームズ・ガイがくる。そんな相手と対峙しても、『俺らがトップで戻れば、丈志さんは絶対にトップで帰ってきてくれる』という信頼感を作りたいし、それを裏切りたくない。5月のジャパンオープンでは、初日の200mは疲れがあってダメだったので、『このままじゃ信頼感がなくなる』と思って400mは頑張りましたから(笑)」
ジャパンオープン(全日本選手権)で結果を残せず、リオ五輪の道を断たれた北島は、レース後に引退を表明した。そのときの彼の心境を、松田はどうように感じたのか――。
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