松田丈志が語る
「北島康介さんから教えられたこと」 (2ページ目)
2004年のアテネ五輪直前、アメリカのブレンダン・ハンセンが北島の持つ100mと200mの平泳ぎの世界記録を更新。しかし、北島は2003年の世界選手権のときも、直前に自身の世界記録を塗り替えられながら、それをモノともせずに優勝を果たした。そのときの経験が、アネテ五輪でふたつの金メダル獲得につながった要因と言われている。
「アテネでの決勝レースでブレンダン・ハンセンが自身の世界記録を塗り替えるような泳ぎをしていたら、金メダルは厳しかったかもしれない。でも、康介さんには、相手にベストを出させないような"何か"があるのではとも思います。本当に強い選手というのは、そういう大事な場面になると、メンタルのタフさなどを含めた総合的な強さを発揮するので......。
アテネ大会前のスペイン合宿に行く直前、康介さんはひざにガングリオンができて、プールのなかで泳がずに歩いている映像を見た覚えがあります。そのときは心配というか、『本当に大丈夫かな?』と思いました。その状態から金メダルをもぎ獲るところまで持っていく精神力の強さは、本当にすごい。普通の人なら、『ちょっと厳しいな......』と思えば、気持ちも引いてしまうものです」
2008年、北島は自身3大会目となる北京五輪に挑んだ。周囲から聞こえる期待の声は、「五輪2種目とも2連覇」。当時25歳の北島は、多大なプレッシャーを背負いながら、エースとして舞台に立った。
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