【リオ五輪】萩野公介が金メダルを獲得。
天才スイマーは真のエースへ

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

60年ぶりにダブル表彰台を飾った、金メダルの萩野公介(右)と銅メダルの瀬戸大也(左)60年ぶりにダブル表彰台を飾った、金メダルの萩野公介(右)と銅メダルの瀬戸大也(左) リオデジャネイロ五輪、競技初日の8月6日に行なわれた水泳男子400m個人メドレー。金メダルを狙う日本人同士の戦いは、昼の予選から白熱した。

 予選で先に泳いだのは、第3組の萩野公介だった。平井伯昌コーチが「本人は200mまでは6割くらいで、残りは3割くらいで泳いだと話していました」と言うように、萩野の泳ぎには最初から余裕があった。2位を大きく離すと、最後の自由形のラスト50mは流すような泳ぎで4分10秒00でゴールした。

 一方、次の第4組で全米選手権優勝のチェース・ケイリシュと一緒だった瀬戸大也は、得意なバタフライをマイケル・フェルプスが持つ世界記録のラップより0秒12速い54秒80で入る泳ぎを見せた。次の背泳ぎでは予選の萩野のタイムを2秒上回り、300m通過タイムも1秒弱上回った。さらに最後の自由形では平泳ぎで追い上げてきたチェースとラスト50mは激しく競り合うデッドヒートに。最後は敗れたが、4分08秒47の自己新をマークした。

 萩野は決勝に向けて、「(予選は)平泳ぎからだいぶゆっくり行ったけれど、大也が速かったので決勝に向けてやりがいが出ました。各泳法の泳ぎ自体は今シーズンで一番よかったから、普通に泳げば4分5~6秒台は出せます」と余裕を見せた。

 そして瀬戸も、「チェースに勝って4分10秒を切らなければと思って泳いだけど、ちょっと速すぎでびっくりしました。でも、それは調子がいいということなので、あとは自分のことに集中するだけだと思っています」と明るい表情を見せた。余裕を持って決勝に力を残そうとする萩野と、先手を取って精神的に優位に立とうとする瀬戸。互いの思惑が見えるレースだった。

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