松田丈志が語る「北島康介さんから教えられたこと」 (4ページ目)
康介さんのすごいところは、苦しい場面でも、それを楽しんでしまうようなところがあることです。極限の舞台でも冗談を言えるし、それを楽しめる力がある。今の萩野公介を見ていると、最後に必要になってくるのはたぶん、そういうところだと思います。一方、瀬戸大也はそういうところがちょっとうまいから、世界選手権でも結果を出せているのかなと......」
2012年4月の日本選手権。北島は100m平泳ぎで日本記録をマークし、200m平泳ぎでも高速水着禁止以降の世界最速タイムを叩き出した。日本競泳史上初となる、平泳ぎ2種目での3大会連続オリンピック出場。その年の9月に30歳を迎える北島は、ロンドン五輪でも金メダルを狙いにいった。
「ロンドンに関して、康介さんは一度休んだあとにアメリカで3年間過ごしたけど、『自分で考えてやる』という楽しさをそこで味わったのではと思います。あくまで僕の主観ですが、日本選手権ではすごくいい泳ぎをしたけど、北京までに比べれば"土台"が小さかったのだと思います。平井(伯昌・のりまさ)先生のところで練習しているときは、自分自身の土台が大きかったから、80%くらいの状態でも戦えた。でも、土台が小さくなった結果、すべての要素が合わないと好タイムを出しづらくなったのではないかと思います。
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