「3連覇のなかで一番うれしい」久保凛が日本選手権で復活優勝 新環境を支えたコーチと仲間に「最高のチーム」と感謝
「もう、泣くだけグラウンドで泣いてきました」
6月13日、日本陸上競技選手権2日目の女子800m決勝後、ミックスゾーンに現れた久保凛(積水化学)はこう話し、言葉を続けた。
「ここ(日本選手権の舞台)に立つだけでもすごくしんどかったというか、たくさんの感情があって、ここまでやっと辿り着いたというか。予選からあまりうまくいかなかったので、決勝も不安ななかで臨んで、今やっと素直に喜べます。(優勝タイムの2分01秒54は)自己ベストではないけれど、『やっとここまで帰ってこられた』という安心感がある。今回の優勝はまた新しい経験で、一番濃かったなと思うし、3連覇のなかで一番うれしい優勝だと思います」
日本選手権で3連覇を果たした久保凛 スポーツ報知/アフロ●写真
【ケガを治すところから始まった新環境】
今年の3月に高校を卒業後、大阪から上京して新たな環境に進んだ久保。実業団の積水化学に所属し、マラソンの新谷仁美や東京五輪1500m出場の卜部蘭(ともに積水化学)を指導する、元800m五輪代表の横田真人コーチが主催するTWOLAPS TRACK CLUBでの競技継続を選んだ。
だが、卒業前の今年1月にケガをして、代表が決まっていた2月上旬のアジア室内選手権の出場を辞退していた。そこからの歩みは順調ではなかった。
「(新しい環境に)入った時は、すごく楽しみな気持ちが多かったですが、ケガ明けだったので、まずは戻すところから始まり、自分でも最初はうまくいかないっていうのは分かっていました。ただ、思っていたよりもうまくいかなくて......」
高校時代のようなきつい練習はできず、体の状態を見ながらやるという状況だった。そのなかで挑んだ初レースは5月10日の地元・大阪での木南道孝記念陸上競技大会だったが、組6位で総合7位に終わり、レース後は記者への対応ができないほど落ち込んだ。
その時のタイム2分07秒47は、高校1年のベストよりも1秒以上遅い記録だった。
「シーズン初戦にしては頑張ったけれど、予想以上に悪い記録になってしまいました。もっといけると思っていたのに、全然足も動かなくて、自信もなくなってしまったというか、一瞬『もう無理や』と思いかけて、心が折れてしまいました」
レースの直後に座り込んでいた久保の横に「横田コーチもずっと同じように座り込んでくれていた」と、笑顔で振り返る。
そのあとは、1500mの出場が決まっていた1週間後のゴールデングランプリの出場を辞退し、TWOLAPSが主催する5月30日の"ミドル・ディスタンス・サーキット2026"(MDC)の出場に備えた。そこでは2分02秒76で優勝するまでに状態を戻していた。
「MDCには絶対に合わせたいという気持ちがあったので、もう沈んでいる場合じゃないと思いました。ちょっとご飯が喉を通らない時期もありましたが、そのまま合宿に入ったのでクラブのみんなに気をつかってもらって。自分よりも苦しい経験をしている先輩たちが何気ない気づかいで話しかけてくれたのは本当に感謝ですし、最高のチームだなと思いました」
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