【マラソン】ロス五輪のMGCに向けて新たな取り組みに挑戦中の浦野雄平「高速化から目を背けるわけにはいかない」
【不定期連載】箱根からロス五輪へ~MGCに挑むランナーの肖像~
第3回 浦野雄平(富士通)後編
今年2月の大阪マラソンでMGC出場権を獲得。前回のMGCの雪辱を果たすべく、着々と準備を進めている photo by Aflo
箱根駅伝を走ったという事実は同じでも、その物語は一人ひとりまったく違う。区間賞を重ねたスターもいれば、たった一度の出走で思うような成績を残せなかった選手もいる。本連載では、2028年ロサンゼルス五輪代表の座を争うMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)出場権獲得ランナーたちに、箱根を走った学生時代の記憶、そして、世界を見据えて42.195kmに挑む現在地を聞く。
第3回は、浦野雄平選手(富士通・28歳)。箱根駅伝の山上りで名を上げた國學院大時代を振り返ったインタビュー前編に続き、この後編では実業団入社後の歩みとともに、自身二度目の挑戦となるMGC、そして、ロス五輪への思いを聞いた。
前編を読む>>>【マラソン】初出場した箱根駅伝、沿道からの「遅いぞ!」というヤジに、浦野雄平は「こんなことを言われるのか...」
【初マラソンで好タイムをマーク】
年々力をつけ、前回の箱根駅伝で総合2位、来年こそ初の総合優勝をうかがおうかという國學院大。その強さのベースを築いた世代の浦野雄平が、世界への挑戦という目標を達成すべく選んだのは、実業団の富士通だった。
「進路を決めたのは3年の時です。本当にいろいろ考えましたが、最終的には早い段階で声をかけていただいた富士通に決めました。(指導実績のある)福嶋(正)監督(現エクゼクティブアドバイザーコーチ兼長距離コーチ)がいて、松枝(博輝)さん、坂東(悠汰)さん、塩尻(和也)さん、(鈴木)健吾さん(現横浜市陸協)という強い選手がいる。成長するために、そういうレベルの高い選手たちのなかに身を置きたいなと思い、決めました」
2020年の入社当初はトラックを主戦場にしていた。1年目から日本選手権に出場したが10000mは18位に終わり、2年目は5000mに出場したが11位だった。その時、まだまだ取り組みが甘いと思って始めたのが、マラソンの練習だった。
「5000mも10000mも日本選手権には出ていたんですけど、いまいちパッとしなかったんです。今のままじゃ中途半端なまま終わると思い、幅を広げる意味で2年目の秋からマラソンの練習を始めました。ただ、その時はまだ本格的にマラソンを走るという感じではありませんでした」
だが、2022年2月、浦野は大阪・びわ湖毎日マラソン統合大会に出場すると、初マラソンながら2時間07分52秒の好タイムをマークし、3位になった。
「初めてだったので相場がわからなかったのですが、それでも大きな集団について、最後は(コニカミノルタの星岳、三菱重工の山下一貴と)3人でトップグループを形成できたのはよかったです。37kmからは苦しかったですね。でも、それまではいつものレースのようにラクに走れました。
もともと、なんでもそつなくこなすことができるのが自分のストロングポイント。結果が出たことで次につながるレースになりましたし、これをきっかけにパリ五輪をマラソンで目指そうと思いました。自分は再現性が高いタイプで、1回走れてしまえば次もいけるという感覚があったからです」
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著者プロフィール
佐藤俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)、「箱根5区」(徳間書店)など著書多数。近著に「箱根2区」(徳間書店)。


