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箱根駅伝で「ありえないことが起きた感じ」 駒澤大の新主将、篠原倖太朗が明かす「チームが大きく崩れた部分」と新スタートへの抱負 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【「負けを知る」強み】

 自分が1区で区間賞を獲得し、2区の鈴木芽吹(4年)も1位で襷をつないだ状況では、篠原自身も危機感はなかったという。3区の佐藤圭汰(2年)が必ず差を広げると考えていたからだ。

「正直、後ろのほうに行けば行くほど危機感はなかったと思います。みな一番で襷を受けると思っていましたし、それこそ4区を走った山川拓馬(2年)はまさか圭汰が2番で来るなんて思っていなかったと思います。そもそも3区の圭汰に一番で渡った時点で抜かれるなんて誰も思わないですよ。普段の圭汰の練習を見ているチームメイトからしたら、ありえないことが起きた感じだった。そこが、チームが大きく崩れた部分です。

一番自信を持っていたところで想定外のことが起きたので、それに全員が驚いてしまった。(駒大内のトップレベルの)Sチームの選手を三枚使って青学大に前に出られたことは、すごく大きいものがありました」

 昨季の駒大には絶対的なエースである田澤廉(現・トヨタ自動車)がいた。その代わりに今季は篠原、鈴木、佐藤の三本柱が強力だったが、篠原は「正直、(11月の)八王子の1万mレースから自分は、『ふたりのほうが強いんだろうな』と心の中で思っている部分もありましたし、それを考えると頼ってしまったところもあるのかなと思う」と反省する。

 ただ、駒大としても大きな誤算があったわけではない。

「一人ひとりが100点を出した選手はいなかったと思いますけど、大きく崩れたとは思っていません。4区の山川に関しては少し思うことがあるかもしれないけど、駅伝はみんなでつないでいくものです。往路に関しても目標タイム(青学大が2020年に樹立した記録より1秒早い5時間21分15秒)をクリアしているので(5時間20分51秒)、良かったと思います」

 それに対して青学大が120%の力を出した。

「多くの方々は青学大が『箱根だけを狙っている』と言っているけど、他の大会でも活躍している選手はいます。別にそれが悪いとかいいとかではないと思うし、狙う試合で狙えばいいだけ。それをうちが言っていたらただの負け惜しみ以外の何物でもないので、そこは別にいいと思います。

 ただ比べてみれば、やっぱり、青学大の選手たちは負けを知っていたのが大きかったと思います。前回の箱根で負けているし、それ以外でもいっぱい負けてきた。今回は自分たちも久しぶりに駅伝で負けて感じるものがあったので、それをずっと味わっていた人たちはやっぱ強いですよね。そのことを実感しました」

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