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箱根駅伝で「ありえないことが起きた感じ」 駒澤大の新主将、篠原倖太朗が明かす「チームが大きく崩れた部分」と新スタートへの抱負 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【全員が強いチームに】

 今回の負けで、駒大は新たなスタートができる。新キャプテンとしてチームを牽引する立場になる篠原は、来年に向けての課題も見えたという。

「やっぱり自分もふたり(鈴木、佐藤)に頼った部分はあったけど、チーム全体がSチームの選手に頼っていた部分があった。『三本柱を使って前に出られても大丈夫だよね』というくらいの気概を持っていた選手が少なかった気がします。箱根の前も自分はちょっと転んでしまい、そこからは体に対して全神経を集中して走っていました。5区を走った金子伊吹さん(4年)も山川が5区に来たら外れる選手だったので、やることはもう常に5区を走れる体にしておくこと。そういう危機感を持ってやっていたのは、この2人ぐらいだったと思います。だから金子さんも、本来の走力以上に、かなりいい走りをしてくれた。でもそれ以外の選手たちは、そこまでの危機感はあまりなかった感じがします。区間順位を見ても本来なら区間賞を取らなければいけない人が取れていない部分もあります。

 それを考えると自分が主将としてどうしていくのか。やっぱり強い人が強いだけのチームではなく、全員が強いチームっていうのが必要だと思います。今年駅伝を走ったメンバーだけで次のシーズンを戦うとは思っていないし、今の1年生たちは今シーズン、三大駅伝の出走がなかったけど走れるようにならなければいけない。強かった4年生の穴を誰が埋めるかって言ったらSチームがもっと強くなるだけではなくて、AチームやBチームでも駅伝を走れなかった選手たちが埋める。誰かがではなくて、『自分がやらなければいけない』ということを伝えて、やっていってもらえたらなと思います」

 主将としてチームのことも考えていかなければいけないが、個人をおろそかにするのではなく結果を出してチームを引っ張っていく形にしたい。それが駒大のスタイルでもあるとも思っている。

「パリ五輪(出場)は厳しいとは思いますけど、狙えない位置というわけではありません。日本人では世界ランキングのポイントも5番目なので、できるところまでやってみようと思っています。でも直近の目標はハーフマラソンの1時間切りですね。長距離種目では一番狙える日本記録(1時間00分00秒)だと思うし、最初の1時間切りには価値もあると思うので2月の丸亀ハーフでそれを果たして、トラックシーズンにつなげてチームに勢いをつけていきたいと思っています」

 篠原は2月4日に行なわれる丸亀ハーフに出場した後、アメリカのアルバカーキーでの高地合宿に入る予定。

 篠原の視線は、すでに前に向かっている。

【Profile】篠原倖太朗(しのはら・こうたろう)/2002年9月3日生まれ、千葉県出身。175cm・57kg。山武中→富里高(共に千葉)→駒澤大。大学1年時の出雲駅伝で学生三大駅伝デビューを果たし、2年時には全日本大学駅伝5区区間2位、箱根駅伝3区区間2位でチームの三冠に貢献。2023年2月の丸亀ハーフで1時間00分11秒の日本人学生最高記録を樹立。同年3月の日本学生ハーフ優勝を果たし、ワールドユニバーシティゲームス代表に。2023年度の駅伝シーズンは出雲1区区間賞、全日本3区区間2位でチームの2冠に貢献し、箱根駅伝では1区区間賞を獲得した。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

【写真】ペンで応援! 駒大スポーツ新聞「コマスポ」編集部

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