箱根駅伝の区間エントリーから見る前回大会上位6校の思惑 駒澤大は王道の勝ちパターン 青山学院大は往路で勝負のオーダー (2ページ目)

  • 折山淑美⚫︎取材・文 text by Oriyama Toshimi

【中央大は1区から一気呵成に、青学大の主軸2人は?】

 駒大を追いかける中大、青山学院大、國學院大は、往路での「駒大独走阻止」を狙ったオーダーを目指す。

 前回2位の中大は1区・溜池一太(2年)、2区・吉居大和(4年)、3区・中野翔太(4年)と2区の終盤からトップを走った前回と同じオーダーを組む。吉井、中野は前回、それぞれ区間賞を獲得しており、その実績は他チームに与えるプレッシャーとして十分。補欠には前回4区区間5位の吉居駿恭(2年)、今季1万m28分12秒17、ハーフマラソン1時間02分35秒の自己新記録を出し出雲と全日本ともに区間2位の湯浅仁(4年)がいる。4区には当日変更でどちらかが入り、もうひとりは復路の勝負区間に入りそうだ。

 驚いたのは、過去2大会5区を務め前回区間3位(1時間10分36秒)の阿部陽樹(3年)を平地区間の8区にエントリーしたことだ。阿部は今季、出雲、全日本と堅実に走っており、山上りの5区で起用するのが定石だが、中大にとって8区は前回、チーム最低の区間7位で駒大にその差を1分以上に広げられ、勝負をつけられた区間。遊行寺の坂もあるきついコースで粘るための起用と推測できる。裏を返せばそれだけ現状5区にエントリーされている山﨑草太(1年)か補欠の誰かの計算が立っているという見方もできる。

 6区は経験者がいないため、ひとつのカギの区間になりそうだが、7区は吉居駿恭か湯浅のスピードを生かせる。さらに全日本6区区間4位の吉中祐太(2年)も補欠に控えており、復路の平地区間での起用もある。

 前回3位の青学大は出雲と全日本の快走でエースとして台頭した黒田朝日(2年)と前回4区区間2位の太田蒼生(3年)を補欠に回すエントリーだが、おそらく2区、3区に当日変更で配置されると推測。1区には全日本6区区間3位の荒巻朋熙(2年)を起用し、4年連続出場となる佐藤一世(4年)は1年時以来の4区、5区には前々回区間3位だった若林宏樹(3年)を起用しており、往路でしっかり勝負をするオーダーになる。

 復路の主要区間でも8区には全日本8区区間3位の田中悠登(3年)、9区は11月に1万m28分19秒31の自己新記録を出した倉本玄太(4年)がエントリーされた。出雲4区区間賞で全日本5区区間4位の山内健登(4年)も補欠になっているが、中大と同じく6区に経験者がいないのがポイントになるだけに、山内を当日変更で7区に入れれば万が一にも備えられる。

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