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出雲駅伝上位校にルーキーの好走あり。箱根駅伝での活躍も楽しみな3選手 (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by SportsPressJP/アフロ

中央大ルーキーは区間2位を獲得

 3位の中央大学は、5区と6区をルーキーが担った。

 走りが目立ったのは、5区の溜池一太だ。4区の阿部陽樹(2年)から3位で襷を受けると、猛烈な向かい風のなかを激走し、順位をひとつ上げて2位でアンカーの吉居駿恭(1年)につないだ。

「三大駅伝を初めて走らせていただくことになり、走る前からワクワクしていました。調子はよかったですし、ここまでよい準備ができていたので区間賞を獲ることしか考えていなかったです。風が強いのは事前にわかっていたことなので、そこは対処ができたんですけど、結果的に区間2位ということで、まだまだだなと思いました」

 溜池は、そう話しながら悔しそうな表情を見せた。

 走りで存在感を明確に表すようになったのは夏前のホクレン千歳大会の5000mで13分47秒88を出した時からだろう。夏合宿は故障がなく、練習は100%の消化率だった。10月デンカチャレンジの5000mでは、13分46秒16で自己ベストを更新した。

 藤原正和監督は、溜池を5区に起用した理由をこう語る。

「もともとスピードタイプの選手で、5000mを軸にやってきたんですけど、夏にしっかりとハーフ対応の練習ができました。それを踏まえて新潟のデンカチャレンジで疲れているなか、13分46秒の自己ベストを出したので耐える走りができるんじゃないかなと。あとは、上り下りに強い選手なので、強風にも対応して走れるんじゃないかなということで自信を持って5区に配置しました」

 溜池自身も自信をもって出雲に臨んだが、本人にとっては思うような結果が出なかった。その要因について、こう分析をした。

「ひとりで走りきる力が足りないというか、(先を行く)國學院大の藤本(竜・4年)選手の力を借りて駒澤大の安原(太陽・3年)選手に追いつこうとしてしまった。自分が積極的に前に行こうという気持ちが足りなかったですね」

 それでも区間2位は、中央大を3位に押し上げた要因のひとつになった。今回の出雲もそうだが、高校時代の都大路でも1区5位で、駅伝では失敗することがほとんどなく、安定感が抜群だ。それが、藤原監督が重要区間に溜池を置く理由のひとつになっている。溜池自身も「失敗しないというのが自分の持ち味かなと思います」と自分の強みをそう語る。

 ただ、安定感の裏には、メラメラと闘争心を燃やしている。とりわけ洛南高校時代の同期で、駒澤大の佐藤圭汰(1年)に対しては猛烈なライバル心をもっている。

「佐藤は、高校の時からすごくて、大学でも5000mを13分22秒で走っているし、今日も区間新を出していた。強いなと思いますが、負けたくはないですし、負けてばかりというつもりはない。これから逆転していければと思っています」

 佐藤とは今後、全日本や箱根駅伝でも戦うことになるだろう。そのために夏合宿では30キロ走を始め、かなりの量を走り込んだ。

「箱根の20キロは、まだ走るイメージがないんですけど、夏に充実した練習ができたので走りたいですね。往路の3区4区、復路だと7区8区が希望です。箱根を走る以上は区間賞を獲れるような走りをしたいと思っています」

 外さない選手ほど監督にとって頼りになるものはない。吉居駿恭とともにいずれ中央の軸になる選手になるのは、間違いない。

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