「山の神止まり」とは言わせない。神野大地が目指すマラソン日本代表への道「箱根駅伝を超えられるのは五輪しかない」 (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

2023年秋開催のMGCで勝負

 今、神野はMGCに向けて、着々と強化し続けている。

 7月から2カ月間、ケニアのイテンで合宿を組み、秋には海外でのレースに出場予定だ。そうした準備は、前回のMGCの経験が活きているからでもある。

「前回のMGCは、出場権を獲得してから半年しか準備時間がなくて、練習はすごく頑張ったけど、結果として出るだけになってしまった。その時、気持ちのゆとりの必要性やピーキングの難しさを感じました。でも、MGCに勝つために一番必要だなって思ったのは、自分が勝てるという自信です。前回はワンチャン狙ってやろうみたいな感じだったんですけど、それじゃ勝てない。僕が箱根駅伝の5区を走る前、どういう気持ちだったのかを考えると、絶対に山の神になる、絶対に区間賞を獲るという気持ちでスタートラインに立っていました。MGCもそういう自信を持った状態でスタートラインに立つことが重要だと思っています」

 前回のMGCは17位に終わり、その厳しさを知るからこそ、その域に達するために準備を怠りなく進めていく覚悟だ。そこには日の丸をつけて走ることへの強い意欲が読み取れる。

「パリ五輪に出るのは簡単なことじゃないのは十分理解しています。でも、やっぱり五輪に出たい。このまま終わってしまうと『山の神止まり』とか『マラソンではダメだった』と僕の陸上人生は言われてしまう。僕は、箱根駅伝で上の景色を見てしまったので現状に満足できていない。その箱根を超えられるのは五輪しかない。だから五輪に出て、活躍したいです」

 MGCは2度目の挑戦になる。大きなレースは冷静に、慎重にとも言われるが、1年目に感じた後悔を繰り返してはいけない。

 行け行けどんどん。

 結果を出していた頃の気持ちで神野らしいレースができれば、パリの灯が見えてくるはずだ。

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