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「山の神止まり」とは言わせない。神野大地が目指すマラソン日本代表への道「箱根駅伝を超えられるのは五輪しかない」 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by 日刊スポーツ/アフロ

結果を出して自信がついた

 悩みの淵にいた神野を劇的に変えたのは、あるレースだった。

「2021年の11月、激坂(最速王決定戦)のレースに出たんですが、その頃はレースに出る度にダメだったので自信をなくしていました。でも、そこで優勝した時、まだ自分の存在価値があるなって思って、自信がわいてきたんです。その激坂の1週間後に1万mの記録会に出ると28分35秒が出て、それからしずおか市町村対抗駅伝大会に(練習拠点である)浜松の代表として出たんですけど、28分20秒ぐらいのタイムを持つ学生が数人出るなか、区間賞を獲りました。いくらいい練習が積めても試合で結果が出ないと本当の自信はつかないですし、強さを手に入れられない。激坂の優勝がきっかけになって、自信を取り戻せたのは本当に大きかったですね」

 神野は、区間賞を獲った2週間後の防府読売マラソンで2時間9分34秒とサブ10を達成、2位になり、MGCの出場権を獲得した。激坂優勝から得た自信とこれまでの練習の成果が融合し、神野本来の走りが引き出されたと言えよう。

 ひとつ壁を乗り越えた神野だが、競技以外でも積極的に動いている。自ら開発に参画したソックスを販売したり、今年5月にはRETO Running Clubという自らのクラブチームを発足させた。「現役ランナーが?」という声があるなか、常に新しいことに取り組み、競技者としてだけではなく、人間的な成長も重視してきた。

「ランニングクラブのみんなや自分と関わりを持っている人が頑張っている姿を見ると、自分も頑張れるし、モチベーションが上がるのですごくプラスになっています。合宿もしましたし、メンバーの成長を見るのもすごく楽しいですね」

 函館ハーフではレースを終えた神野が出走していたメンバーを応援した。市民ランナーが現役のプロ選手に声かけしてもらえるのは、チームならでのシーンだ。

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