実業団駅伝の監督が語る仕事と競技の両立。ユーチューバーになったわけ (5ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

 実業団のライセンス制度は、指導者の地位を守るためとしても読み取れるが、ニューイヤーを指揮する時だけに必要なのであれば果たして本当に意味のあるものなのだろうか。また、ニューイヤーの出場チームは、東日本以外はほぼ同じメンツだ。会沢監督は、「現在6ブロックあるけど、東日本、西日本、九州の3ブロックでいいと思う」という。

 実業団はその存在感を示すために何をすべきなのだろうか。

「組織的には、日本の陸上のトップ集団でいいと思うんですよ。大事なことは、どのくらい外に向けてオープンに発信ができるかでしょう。ニューイヤーはTBSが取材に来てくれるんですが、選手はみんな(テレビに)出たいんですよ。でも、監督が今は集中したいからといって断ってしまう。自分たちの情報が他社に伝わるのが嫌だからとかじゃなくて、どんどん発信していかないと。実業団の練習はこうで、選手はこんな生活をしているんだよとか、そういう素顔をオープンにしていくことで憧れを持ってくれたり、興味を持ってくれたりするようになるんです」

 コモディイイダはSNSをうまく利用しており、会沢監督はYou Tuberでもある。

「僕はなりたくてなったわけじゃない。強化のために金が足りなくて2年間で400万円ぐらい自費負担したんです。そのために収入を得る手段として始めたんです。コアなラン好きの人たちのもので今、7500人ぐらい登録してもらっています。これからも使えるものを使って、発信していきます」

 監督は練習を指導するだけではなく、チームのスポークスマンでもあるべき----会沢監督は、そのことを強く認識している指揮官のひとりだ。11月には東日本実業団の駅伝の予選があり、会沢監督のSNSも頻繁に更新されていくことだろう。そして、その大会でコモディイイダは今年も12位内を目指し、正月のニューイヤーの出場権を獲りにいく。

「今年は周囲が相当強い。ニューイヤーへの出場はギリギリの勝負になるでしょう。ただ、うちは今年まとまっている。(松村)陣之助が1区の定番になっていますが、エース区間に置き、1区に任せられるような選手が出てくれば十分にいけると思います」

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