実業団駅伝の監督が語る仕事と競技の両立。ユーチューバーになったわけ (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

「2018年、駅伝部員は全員、早番にしてもらって、規則正しい生活を送れるようにしてもらったんです。そうしたら東日本実業団の予選で14位になり、ニューイヤーに出場できる12位まであと2つ、タイムもそれまで6分以上、離されていたのが90秒ぐらいの差になったんです。2019年、100周年のシーズンにニューイヤーに出るには、もう言うしかないと思い、『毎日6時間勤務にしてください』とお願いしました」

 100周年ということで指揮官の要望が受け入れられ、駅伝部員の店舗勤務時間は短縮された。そしてすぐに結果となって表れた。

「6時間勤務になると全然違うんですよ。同じ選手とは思えないぐらい力がついてきたんです。1万mでいうとそれまで7人の平均値が29分42秒ぐらいだったんですけど、昨年は29分15秒になった。それでニューイヤーに出場が決まって、取材もたくさん来るようになりました」

 小売業界は年々、売り上げが減少しており、コモディイイダも決して楽な状況ではなかった。そんななか、ニューイヤー駅伝の出場は社にとって大きな光明になった。社内の駅伝部に対する見方や雰囲気もかなり変化したという。

「ニューイヤーに出る前は、『もう練習に行くの』みたいな感じだったです。でも、出場したら『練習頑張って』と声をかけられるようになった。スーパーは近年、人気業種ではなくなってきていることもあり、全国区のテレビに出るというのは、すごく誇らしいことなんですよ」

 ニューイヤーに出場したことは、チーム運営にもプラスになった。2年連続の出場という目標のもと、100周年ということで認められた労働時間は今も継続され、合宿などの予算も増え、スカウティングにも追い風が吹くようになった。

 大学の監督からの打診が増え、行き場所がなく陸上を続けたいという選手から「入りたい」と直接、連絡をしてくるケースが増えた。では、コモディイイダはどういう選手を必要としているのだろうか。

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