マラソンに対応中の神野大地。頻発するレース中の腹痛はなぜ起きる? (6ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 中野が付け加える。

「最初、血液の分配量が少ないから酸素不足になり、胃が痙攣しているのかなって思ったんです。だから、脚力(筋肉)がついて体力が上がると体の中で作られる血液の量が増えていくので、よくなるかなって思ったけど、よくならなかった。根本的に違うなって思ったので、検査をしてしっかりと対策をしなければならないですね。今のままでいくと福岡国際の時に出る可能性が高いので」

 レース中の腹痛の原因については、よく過度の緊張や不安などメンタル面も指摘されているが、そういう部分は関係ないのだろうか。

「僕は箱根ですごいプレッシャーを経験していますし、それほどヤワじゃない」

 神野はそう言って否定した。検査をして原因が特定されれば、不安なくレースに臨むことができる。

「唯一、そこが気掛かりなんで。腹痛が起こらなかったらそんな大崩れはしないですし、きっと爆走できると思うんですよ」

 神野は自分に対する自信を見せた。検査は富津合宿後に行なうという。

 アイシングの氷を取り、これから風呂に入って夕食になる。

「ここの宿の夕食がサイコ―なんですよ」

 厳しい練習の後のおいしい食事は合宿唯一の楽しみだが、ここは期待を裏切らないメニューだという。しかも、ココアが格別らしく、食後の楽しみになっている。

 神野はニコニコしながら、「じゃあ」と風呂に向かった。

(つづく)

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