マラソンに対応中の神野大地。頻発するレース中の腹痛はなぜ起きる? (5ページ目)
高地トレーニングは筋肉に酸素を運びエネルギーに変化させる赤血球を増やすEPO(エリスロポエチン)が増えてパフォーマンスを向上させ、心肺機能を高めることは学術的にも証明されている。だが、神野が言う通り、どのくらいの距離をどのくらいのペースで走ると、身体にどう影響があるのか。そういうデータや知識がまだまだ不足しているせいか、長距離の練習メニューの細かい設定などが十分にできていないのだ。
今回のアメリカ遠征中、神野はチームメイトの山本浩之とともにイギリスに渡り、グレートノースランでハーフを走った。ロンドン、リオ五輪の5000m・1万mで金メダルを獲得したモハメド・ファラーが優勝(60分06秒)したが、神野は64分47秒という平凡な記録に終わった。調子は悪くなかったはずだが、らしくないタイムだ。何か問題があったのだろうか。
「そのレース、胃痙攣(けいれん)が起きたんです。たまにレースで腹痛が起こるんですけど、今回はそれがアップの時からちょっとあって、スタートしてすぐに出てしまった。やってきたことを出すというよりも、ハーフの距離を走るので精いっぱいでした」
神野は苦笑して、そう言ったが、レース中の腹痛はこれまでも何回か起きていた。今年のニューイヤー駅伝では18km付近で腹痛が起き、青梅マラソン(30km:3位)、日本選手権(1万m:20位)、網走ホクレンロングディスタンス(1万m:9位)でも起きた。
「僕は腹痛が起きていない時は、爆走しているんです。昨年の甲佐10マイルでは外国人選手が引っ張る中、日本人で自分ひとりだけついていって優勝できた。今年の都道府県駅伝、丸亀ハーフでも腹痛が起きなかったのでいい走りができました。ニューイヤー駅伝ではラスト2000m付近で腹痛が起きたんですが、そんなに悪い結果ではなかった。だから、それほど本気になって腹痛に向き合っていなかったんです。でも、今回はヤバかったですし、12月の福岡国際の時に出てしまうと大変なことになるので、しっかり検査をして、次、起こらない方法を見つけていくことにしました。そういう意味ではグレートノースで起きたことをプラスに考えています」
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