神野大地が世界陸上視察で悟った「マラソンで外国選手に勝つ走り方」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


 前傾については神野も「これからの課題」だと思っていたという。足の回転に上半身がついていかず、ちょうどスキーでスピードが出た時、後傾になってしまうような感じになってしまうのだ。

「70km走は全体的によかったけど、これで早く走れるわけじゃないし、これでサブテン(2時間10分以内)にいけるわけでもない。自信にはなったと思うけど、前傾姿勢をはじめ、まだまだやっていかないといけないことがある。このままうまくいくとは思っていないですし、必ず落とし穴があるので、今後も引き締めてやっていかないといけない」

 中野は厳しい表情でそう言った。

 70kmを走り終えた神野はホテルの自室で遅い昼飯を取っていた。おにぎり、卵、チーズを次々と口に運ぶ。

「普段飲まないオレンジジュースがうまいって感じます(笑)」

 70kmも走れば、体はかなり疲労している。オレンジジュースにはクエン酸が含まれているので疲労回復にもいいのだ。

 少し落ち着いたところで聞きたかったことがあった。70kmという長い距離に対する怖さはなかったのだろうか。

「最初はありました。1年前は30km走さえもしんどかったけど、今は30kmを余裕でいける。そんな時、合宿で40km走が練習メニューに入ってきた。まだ、40km走れる体じゃないのに40kmを走るのではなく、4月からマラソンに向けてトレーニングを始めて、一段一段階段を上ってきたうえでの40km走。自分がどれだけ成長できたのか。40kmがダメなのか、大丈夫なのかを見極めるために8月16日、2.195kmを足して42.195kmを走りました。アップダウンの激しいコースだったんですけど、余裕を持って走れた。それで怖さがなくなり、今日、70kmを走ってさらに(怖さが)なくなりました」

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る