神野大地が世界陸上視察で悟った「マラソンで外国選手に勝つ走り方」 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun


「今回の夏合宿は高校野球中継や『熱闘甲子園』を見て、涙していました。広陵高校の中村奨成選手は母子家庭なんですけど、『お母さんにホームランボールをあげたい』と言って、本当に打ったんです。それを観たお母さんがスタンドで泣き崩れて......それを見て、泣くんです(笑)。ホント、高校球児が甲子園に出て活躍するためには努力が必要だと思うし、甲子園でのプレーを見ていると、『自分の努力なんて高校球児に比べたらたいしたものじゃない。もっと頑張らないといけない』って思えて、気持ちが上がるんですよ」

 ホテルの部屋はひとりなので共同生活のストレスはない。部屋では本は読まないし、散歩にも出ていかない。机の横には入浴剤が大量に置いてある。テレビやYouTubeを見る以外に、入浴剤を入れた風呂が楽しみのひとつになっている。

「気持ちいいんで2回入る時もあります。あとは散歩もしないし、本も読まないですね。僕、疲れるのが嫌なんですよ。散歩は歩くので疲れるし、本を読むのも頭使うし、黙って読んでいると首や尻も疲れる。

 このホテルの部屋は6階なんですけど、エレベーターを使わない人もいるんです。でも、僕は使います。エレベーターを使って体を休めて、練習を頑張ればいい。練習以外で疲れたくない。僕はそういう思考なんですよ」

 東京五輪で競技人生を終える覚悟でトレーニングを続ける神野にとって、練習以外では1分、1秒でも身体への負担を減らすということは当然のこと。そのくらい徹した生活を送らなければ、五輪でメダルなど到底届かないという考えなのだ。

「本当にここまでは順調にきていると思います。毎朝、起きてハムストリングスを鏡でチェックして、エレベーターの前で待っている時に触るんです。前は『これがハムだ』っていうのがなく、足が細い棒みたいだったんです。でも、中野さんと一緒にやってきてかなり筋肉がついた。しかも、そのハムと臀筋を使えて走れている。これで結果が出たら最高ですね。

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