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【駅伝】二冠達成。箱根に向けて駒大に死角はあるか (3ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • 田中伸弥●写真 photo by Tanaka Shinya

 レースは、そんな大八木監督の思惑通りに進んだ。1区は第一工業大のジョン・カリウキ(2年)が、最初の1㎞を2分42秒で引っ張りハイペースになった。だが中村は「予想以上に速かったが、他の選手を振り落としてくれたから良かった」と楽についていき、中盤以降の東洋大・設楽悠太の仕掛けにも、余裕を持って対応した。そして大八木監督の「仕掛けは1回だけ、やるなら上り以外」という指示をきっちりと守り、12㎞過ぎにロングスパートを仕掛けて悠太を振り切り、32秒の大差をつけたのだ。

 2区は東洋大の服部が、最初の2.5㎞で22秒も差を詰める追い上げを見せ、5.3㎞過ぎで駒大をかわした。「5~6㎞までには追いつかれるだろうから、それから付いていきラスト3㎞でスパートする予定だった」と言う西山だが、残り3.5㎞付近で突き放され、26秒差を付けられた。

 大八木監督は「2区は私の想定より20秒くらい遅かった」と言い、西山も「もう少し粘る予定だった。チームに迷惑をかけた」と反省するが、1年生でエース区間を走る重圧を考えれば合格範囲だろう。その差を、油布が3区4年連続区間賞の走りで10秒に縮めると、4区の村山は最初の1㎞で追いついた。

 村山は「10㎞を28分20~30秒で通過するイメージだったが、モグスさんの記録を破れるとは思っていなかった」と言うが、東洋大の田口と2㎞ほど並走して様子を見た後、3㎞過ぎからペースアップして独走状態に。その後も隙のない走りで、メクボ・モグス(山梨学大)の区間記録を8秒更新。東洋大に1分33秒差をつけてとどめを差した。続く5区・中谷と6区・馬場の区間賞獲得も、村山の快走の後押しがあったからこそ、だ。

 駒大の優勝タイムは5時間13分09秒。「無風なら5時間13分15秒と話していたから予定通り」という大八木監督は、日体大に並ぶ最多11回目の優勝を果たした理由を、「この駅伝はうちに相性がいい。実業団駅伝と同じように、9.5㎞から19.5㎞までバリエーションに富んだ区間がある駅伝がうちのチームには合っている」と語る。だが、区間が20㎞以上になる箱根を考えると、まだ東洋大より層が薄いと気を引き締める。

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