ゴールボールの若きエース金子和也。様々な思いを込め一球入魂を誓う (2ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 転機は中3の夏。母の勧めでパラリンピック選手発掘イベントに参加した。ゴールボールのブースで日本代表選手によるデモゲームを見学したところ、「すごいスピードのボールを体で止めてるよ、すごいね」という母の説明に、「見えてないのに、どうやって?」と不思議に思い、興味をかられた。

 その後、選手から投げ方や守り方を丁寧に教えてもらい、ミニゲームにも参加。ボールはズシリと重かったし、音だけで動くボールを止めるのは想像以上に難しかったが、野球と同じチーム球技で親近感があったのかもしれない。「もっとやってみたい」と思った。

 日本ゴールボール協会からの誘いもあり、高校受験を終えた2015年2月の代表合宿から本格的に競技を始める。止まっていた時計が動き出し、選手としての毎日が戻った。

 野球で培った技術も生きている。例えば、守備。野球は捕球するまでボールから目を離さないよう指導されるが、ゴールボールも同じで、ボールがどの方向から近づいてくるのか見極めなければならない。実際には耳で聞くのだが、最後まで引き付け、『ここだ』と確信してから素早く体を横たえ止めるのがセオリーだ。

 また、「攻撃での投球フォームはバッティングに似ている」と金子は話す。下半身は固定し、体幹を使って上半身をひねり、その反動でボールを打つか投げるかの違い。渾身の体の一振りで点を取りにいくのは同じなのだ。

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る