2019.08.29

パラカヌー瀬立モニカが世界で躍進
「今、成長スピードは自分が世界一」

  • 斎藤寿子●取材・文 text by Saito Hisako
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi Takao

 8月24日、パラカヌーの瀬立(せりゅう)モニカ(女子KL1)が、ハンガリーで行なわれた世界選手権の決勝で5位に入り、6位以内に与えられる東京パラリンピックの出場枠を獲得。カヌーでは、日本人第一号となった。「ようやく口にしてきたことが現実になった」と瀬立。自ら”世界一”と語る成長スピードを武器に、今大会で一気に世界トップクラスの仲間入りを果たした。

ゴールすると笑顔がこぼれた瀬立モニカ 今大会、瀬立と同じクラスには10人がエントリー。予選は5人2組に分かれ、各組の上位3人、計6人が決勝に進出できる。残り4人で準決勝を行ない、上位3人が決勝に加わる。そして9人で決勝を行ない、上位6人には来年の東京パラリンピックの出場枠が与えられることになっていた。

 大会初日に行なわれた予選で、瀬立はタイムが上位6人中5人も集まった厳しい組に入り、結果は最下位と決勝進出を決めることはできなかった。しかし、じつはこの時から瀬立の”快進撃”は始まっていた。

 200mを54秒61で漕いだタイムは、全体の6位。しかも3位から8位までの6人が同じ54秒台で、わずか0.72秒内にひしめき合う混戦模様。瀬立はその6人のうち3番目に入っており、”3位争い”にしっかりと加わっていたのだ。

 最高のパフォーマンスで幕を開けた今大会、瀬立は絶好調な状態を感じていた。翌22日の準決勝では、予選では0.23秒差で敗れた中国人選手に勝ってトップ通過することを目標として臨んだ。その結果、予選に続く54秒台の好タイムを叩き出し、さらに狙い通り、中国人選手との競り合いに勝利してトップで決勝進出を決めた。

「今、調子は最高にいい。コーチからも『どんどん調子に乗っていけ!』と言われているので、決勝は調子に乗りまくりたいと思います!」

 心身共に今大会にうまくピーキングしてきたのがうかがえる。傍目から見ても、瀬立には勢いがあった。その一方で、こうした強気な発言は、彼女が自分自身に向けた言葉のようにも感じられた。東京パラへの切符がかかるレースで緊張しないわけはない。その緊張を強気に変えようとしていたのかもしれない。