2019.07.18

車いすラグビー日本代表、倉橋香衣。
女性だからの注目に「正直悔しい」

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro

 日本代表が2016年リオパラリンピックで銅メダル獲得、2018年世界選手権を初制覇し、2020年東京パラリンピックへの期待も高まる、車いすラグビー。

 ドン、グワッ、ガガン――。初めて観ると、まずはその衝撃音に圧倒される。「ラグ車(しゃ)」とも呼ばれる、競技用車いすでのタックルが認められているので衝突は当たり前。ときには転倒やパンクさえある。

女性選手としてではなく、ひとりの選手として活躍したいと語った倉橋香衣 一方、4人制のチーム競技なので、緻密な戦略に基づいた連係プレーも不可欠。激しさと巧みさが相まって見ごたえあるスポーツだ。

 意外に知られていないのが、男女混合の競技であること。「日本代表初の女性選手」として存在感を放つのが倉橋香衣(かえ/株式会社商船三井)だ。コートの外では周囲を和ます笑顔とおっとりした話しぶりで柔らかな印象だが、プレー中はキリっと真剣な表情でコート全体に目を配り、車いすを操る。

 リオ大会後から代表を指揮するケビン・オアーヘッドコーチ(HC)によって見いだされ、2017年から代表に名を連ねている。

 車いすラグビーには、「肝」とも言える「持ち点制ルール」がある。選手には下肢と上肢に何らかの障がいがあるが、その程度や運動機能などによって7段階に分けられ、最も程度が重い0.5点から最も軽い3.5点まで0.5点刻みの持ち点がそれぞれに与えられる。

 コート上の4選手は持ち点の合計を8.0点以内で編成しなければならない。ただし、女性が加わる場合は1名につき合計点が0.5点プラスされる。

 持ち点0.5点の倉橋が入ったラインナップでは、上限が8.5点となり、チーム編成の幅が広がった。

 代表入りから約2年。オアーHCは、「彼女は(車いす)ラグビーへの理解度を深めている。東京2020大会ではキープレーヤーになるだろう」と話し、評価をさらに高めている。

 だが、当の倉橋は、「まだまだ課題ばかり」と話す。「試合展開によって求められるプレーは違います。どんな展開でも対応できるように、すべてを伸ばしたいです」

 子どもの頃から体を動かすことが大好きだった倉橋は、いつも目の前のことに一生懸命だった。小学校から始めた器械体操は、「怖がり屋なので練習は苦手だったけど、技が一つひとつできるようになることがうれしかった」

 高校まで夢中で続けたが、新たなチャレンジをしようと大学ではトランポリン部に入った。あいかわらず怖がりだったが、空中でくるくる回るのは楽しかったと言う。