2018.07.20

上地結衣、最強ペア結成で新発見。
世界1位から学んだ勝つための秘密

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 6-1、6-1の圧勝で掴んだ5度目のウインブルドン・ダブルス優勝。だが、トロフィーを手にする上地結衣(エイベックス)の顔に、さほど喜びの色はない。

「彼女と私が組んでたら、負けることないやんってみんなに言われるので……」

デグルートとコンビを組んで大会5連覇を達成した上地結衣 そう言って謙遜の笑みを浮かべるも、そのような周囲の視線は誇張でもなんでもない。彼女が今大会でダブルスを組んだパートナーは、上地を抜いて世界1位に座するディード・デグルート(オランダ)。圧倒的な攻撃力を誇る、21歳の若き女王だ。

 女王の座奪還を目指す上地にとって、デグルートは最大のライバルである。対戦成績は上地が12勝6敗と大きく勝ち越すが、ここ5戦に限って言えば1勝4敗。かつての自分がそうであったように、オランダの新鋭は若さを追い風として、この1年で急成長して頂点へと駆け上がった。

 デグルートに対する上地の警戒心は、6月の全仏オープンでの彼女の言葉が浮き彫りにする。デグルートの試合の動画をチェックし、対戦相手のプレーのなかから参考になりそうな戦術を整理し、頭に入れていた。それが功を奏し、全仏決勝では鮮やかな逆転劇を演じて快勝。ただ、それでも上地には、自分本来のテニスではなかったという、微かな歯がゆさもあったようだ。

 精度の高いショットと巧みな車椅子操作を駆使し、コートを広く使うのが上地結衣のテニス。ただ、その精緻かつ頭脳的なテニスでまだ手にしていないのが、ウインブルドン・シングルスのタイトルだ。

 今回も悲願達成に挑んだものの、結果は準決勝敗退。芝が車いすのウィールに絡みつくグラスコートでは、上地の武器である機動力や敏捷性が生かしきれない。そうなると、「早く決めなきゃと焦る悪循環」に陥り、デグルートの待つ決勝までたどり着くことができなかった。

 ところが、シングルス敗退と同日に行なわれたダブルスでは、望むプレーができている自分に気づく。