上地結衣、最強ペア結成で新発見。世界1位から学んだ勝つための秘密 (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「何が違うのだろう?」

 そう考えたときにふと思ったのが、ダブルスではたとえ芝でも、相手の動きを見ながらプレーできていたこと。立て続けに行なった単複のプレーを重ね比べてみることで、「精度の高いショットを打ち、先々の展開を読む」という自身の長所を、客観的に見つめられた。

 さらにはもうひとつ、ダブルスを戦いながら、上地が気づいたことがある。それは、パートナーのデグルートのプレーの特性だ。

「彼女はけっこう、前に詰めているなと思いました。ベースラインより、30~40cmはコートの中に入って打っている。それは、自分が対戦しているときは見られなかったこと。サーブやポジション取りなど、『そういうふうにやってるんや』と思うところはありました」

 それら今回気づいたことは、今後の対戦に活かせそうか......? そう問う声には、「これからじゃないですかね」と答えるにとどまった。

 だが、日ごろからトップ選手や追い上げてきそうな若手をも分析し、仔細にノートにつけている彼女のことだ。今回の発見を、次の対戦に活用してくるのは間違いない。

 2012年のロンドン・パラリンピックにも出場している上地は、まだ24歳の若さながらもツアー転戦の経歴は長い。近ごろでは、以前にはほとんど感じなかった心身の「疲れ」を覚えることもあるという。

 ただ、それは「気が抜けない試合が増えた」ためであり、女子車いすテニス全体がレベルアップした証左でもある。その底上げの牽引者であるフロントランナーは、「前回1位から2位になったときは焦りがありましたが、今はあんまり、そういう気持ちはなくて」と言った。

「自分のなかで、まだできていないこと、やりたいことがある。どれくらい時間がかかるかわからないけれど、それができたときに勝てるようになる......何か変わるだろうというイメージがある」

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