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リオパラ前哨戦。「もうひとつの世界陸上」に挑む日本選手たち (3ページ目)

  • 星野恭子●文 text by Hoshino Kyoko
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi Takao

 若手にも活躍が楽しみな選手は多い。たとえば、女子T47クラス(上肢機能障害など)の100mに出場する、三須穂乃香(17歳/新潟県立村上高校)と辻沙絵(20歳/日本体育大学)は、ともにパラ陸上界に鮮烈なデビューを果たしてすぐ、代表の座をつかんだ。

 三須は先天的に右腕の肘から先がない。だが、幼い頃は自分が障がい者という自覚はなく、小学校から陸上をはじめ、健常者の大会に出場していた。『パラリンピック』を初めて意識したのは2年前の20年東京パラリンピック開催決定だという。以降、パラ陸上の大会にも出場するようになり、頭角を現した。

 周囲の助言もあり、最近は走る時だけ右手に義手をつけるようにしたところ、スタート時の安定感や腕振りの左右のバランス感が増した。記録も順調に伸び、7月には100mの日本記録(13秒11)を塗り替えている。

 世界選手権については、高校の陸上部の先生から、「代表の責任を忘れず、がんばろう」と激励されたという三須。「緊張せず、いい感じで走れるようにがんばりたい」と抱負を話す。

 一方の辻も、三須と同様の障害を持つが、やはり障がい者という意識はなかったといい、小学校でハンドボールを始め、日本体育大学進学後もハンドボール部に入り、関東の1部リーグで活躍していた。

 パラ陸上に転向したのは今年3月。20年東京大会に向け、日体大内でスタートしたパラリンピアン発掘プロジェクトによって見いだされ、スプリントの才能が開花。わずか2カ月後の、5月の大会で100m、200mの日本新を叩き出し、9月には200mの日本記録を(27秒48)を更新した。

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