リオパラ前哨戦。「もうひとつの世界陸上」に挑む日本選手たち

  • 星野恭子●文 text by Hoshino Kyoko
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi Takao

盛りあげよう!東京パラリンピック2020(38)

 パラ陸上の世界トップ選手が集う、「IPC2015陸上競技世界選手権大会」が10月22日、カタール・ドーハで幕を開ける。国際パラリンピック委員会(IPC)が主催し、参加標準記録を突破した選手だけが出場できる世界一決定戦だ。1994年の初開催以来、7回目となる今年は、来年に迫ったリオデジャネイロパラリンピック(リオパラ)の前哨戦でもあり、約100の国と地域から約1300名の選手が参加して、31日まで熱戦を繰り広げる。

幅跳びT44クラスで日本記録を持ち、初の世界選手権に臨む中西麻耶幅跳びT44クラスで日本記録を持ち、初の世界選手権に臨む中西麻耶 その舞台に、日本からは過去最多の57選手(身体障害クラス45名、知的障害クラス12名)が出場する。特に前回2013年大会でメダル10個(金1、銀5、銅4)を獲得した身体障害クラスの日本選手にとっては、リオパラにつながるチャンスの大会でもある。今大会で個人種目2位以内入賞選手の国にはIPCからリオパラの出場枠が与えられるが、日本パラ陸上競技連盟(JPA)は該当選手をリオパラ代表として日本パラリンピック委員会に上位推薦すると発表している。リオ出場がグッと近づくのだ。

 また、世界トップ選手による真剣勝負の場は、自分が今、世界のどの位置にいるのか、ライバルとの実力差をはかる貴重な機会だ。これまでの練習内容を確認し、修正すべき点があれば見直し、リオパラに照準を定めたスタートを切る場にもなる。

 JPAは今大会の選手派遣基準を、A標準記録突破、メダル獲得や8位入賞可能といった条件に加え、リオパラ実施種目に絞った。日本選手団の安田亨平監督は、「ベテランにはリオを見据えたパフォーマンスを、若手には自己新など記録にこだわり、よい経験を」と期待した上で、今大会で8~10個のメダル獲得を目標に掲げる。前回大会の10個にはマラソン種目での3個が含まれている。今年はマラソンが4月に先行して実施され、そこですでに3個のメダルを獲得しているため、実質的には前回を上回る目標となる。

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