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中野慎詞がコーチからの「無理」な要求で気づいた自分の強み 盟友・太田海也とケンカした過去も明かす (3ページ目)

  • text by Sportiva

――いちアスリートとして、世界の頂点に立ちたいという意識はありますか。

 あります。世界で一番になることは、お金には代えられない、自分にしか感じられない価値があると思っています。だからずっと挑戦をし続けています。海外の選手には、日本には競輪というしっかりと稼げる世界があるのに、なぜ競技を軸にやっているんだと言われるんですが、自分は世界一を獲る名誉のためにやっているので、そこは価値観が違いますね。世界のトップ選手たちと戦うことは楽しいですし、勝った時、メダルを獲った時の気持ちよさは競輪とは違う喜びがあります。

【ふたりで競輪界を盛り上げたい】

――同じ年齢で、ともにナショナルチームの一員として活躍している太田海也選手は、中野選手にとってどんな存在でしょうか。

 僕のほうが自転車競技歴は長いんですが、能力的にはひとつ上の存在だと思っています。日本競輪選手養成所から一緒にやってきて、お互い早期卒業もしていますから、周りから比べられていると思いますが、自分としては負けたくないという気持ちがありますし、太田選手を倒せばもっと上の世界に行けると思っています。いい刺激を与えてくれる存在だと思います。

――2021年12月、早期卒業の時にも話を伺いましたが、ふたりはとてもライバル意識が高くてピリピリとした緊張感さえ感じました。

 そうなんですよ。もともと仲はよかったんですが、養成所のなかでケンカをしてしまって、1年半か2年くらい話をしない時期がありました。お互い目を合わせない、挨拶もしないような感じでした。

 でもそういうことはもうありません。太田選手のほうが成績がいい時もあれば、自分のほうが成績がいい時もあります。そういう時に「おめでとう」が言えない関係ってよくないなと思いました。アスリートとして勝者に対して「おめでとう」と言えないのは失格だなと思ったんですよ。

 そう思って「おめでとう」と言うようにしたんです。そうしたら周りも僕たちの関係をいじりだしたんです。「また仲悪く見せて」とか言ってくれるなかで、どんどん固さがなくなって、元の関係に戻っていきました。今は昔みたいに話をしていますし、チームみんな仲がいいので、一緒にご飯を食べに行ったりしています。

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