脇本雄太がGⅠ高松宮記念杯競輪を制覇 恩師の訃報に涙する古性優作、仲間を引っ張る寺崎浩平の思いを背に走りきる (4ページ目)
【真の王者の風格】
今年2月に、KEIRINグランプリとすべてのGⅠタイトルを獲得する「グランプリスラム」を獲得している脇本は、今回のタイトルでGⅠでは10回目の優勝を手にした。その強さは圧倒的で、今開催でも他の選手が驚くほどの爆速ぶりを見せた。
2着の古性は「最後は何がなんでも優勝したくて、死ぬほど踏んだが力の差があった。今は何回やっても抜けない」と白旗。若手のホープ太田も「自分の脚力不足」と完敗を認め、清水も「どこもニュートラルに入れなかった」と想像以上に連続するスピード勝負に舌を巻いた。
冷静にレースを振り返る脇本 photo by Photoraidこの記事に関連する写真を見る これほどの実力を誇る脇本だが、それでも向上心は消えていない。
「先月は調子が悪くて、自分自身、新しく変わっていこうと思っていた。今回のGⅠは変化を求めながら新しいことに挑戦するのがモチベーションだったので、この優勝で弾みがついたと思う。現段階で行なっている変化を進めていけば、次のGⅠ(8月のオールスター競輪)でも自ずと結果が生まれると思う」
どこまでも成長を求める脇本。ただ強いだけではなく、古性や寺崎ら仲間への思いも背負いながら、それでいて負けないメンタルを持つ。グランプリスラムというわかりやすい偉業が代名詞になっているが、脇本には競輪の神髄を感じさせる奥深さがある。今開催はそれを強烈に印象づける真の王者の風格が漂っていた。
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