脇本雄太がGⅠ高松宮記念杯競輪を制覇 恩師の訃報に涙する古性優作、仲間を引っ張る寺崎浩平の思いを背に走りきる (2ページ目)
【近畿勢3人の思い】
決勝のポイントは、近畿勢の脇本、古性、寺崎浩平(福井・117期)の3人を軸に、中国コンビの清水裕友(山口・105期)、太田海也(岡山・121期)、南関東勢の深谷知広(静岡・96期)、郡司浩平(神奈川・99期)、松谷秀幸(神奈川・96期)がどう立ち回っていくかだった。
レースは、パリオリンピックにも出場した太田が「後ろ攻めは苦しい」と先行し、その後ろに清水がついた。この中国コンビに、近畿勢、南関東勢が並ぶという展開に。残り2周になったところで、深谷が先頭となって南関東勢の3人が一気に仕掛けるが、太田にそれをけん制されてスピードダウン。深谷は「(ここで)前に出きれなかったことがすべて」と悔やんだ。中国コンビ、近畿勢、南関東勢の並び。多くの観客がバンクを取り囲み声援を送る photo by Photoraidこの記事に関連する写真を見る そして残り1周半の打鐘とともに、ついに寺崎、脇本、古性の並びで近畿勢が爆速で駆け上がり、ラスト1周で3人が前に出きった。
脇本は「(寺崎が)どこから仕掛けるかわからなかったし、油断しないようにしっかりとハンドルを絞っていましたが、打鐘が鳴ったときの寺崎君のスピードがすごかった」と驚くほどの猛スピードだったが、脇本と古性のふたりのみがきっちりと追走。後続を引き離しにかかった。
ラスト1周。寺崎、脇本、古性の3人が前に躍り出る photo by Photoraidこの記事に関連する写真を見る
ただ寺崎はバックストレッチまで先頭を走ったが、そこで力尽きるようにスピードが緩む。「寺崎君の気持ちを汲み取ったうえで仕方なく前に出た」と脇本は迷いながらも、自分たちを必死に引っ張ってくれた寺崎の思いを受けてラスト半周に挑んだ。
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