進学校に通う金メダル候補、安楽宙斗17歳の悩み「同級生はすでに受験勉強をしている人もいて...」
パリ五輪・スポーツクライミング日本代表
安楽宙斗(17歳)インタビュー前編
「僕はそんなに、器用なタイプではないんですよね」
今夏のパリ五輪にスポーツクライミング日本代表として複合種目のボルダー&リードに出場する安楽宙斗(あんらく・そらと/17歳)選手。大事なシーズンの幕開けを控える安楽選手に、進路について訊ねると、悩ましそうに言葉を紡ぎ始めた。
「僕は目の前にあることしか見えなくなるんですよね。だから、ひとつのテーマに向き合って深く考えられればいいんですけど、今はそれが難しくて......」
安楽選手は現在、高校2年生。この学年の正月を挟んだ冬の季節は、多くの人にとって"人生最初の選択"に迫られるタイミングだ。進学か、就職か、進学するならどんな学校に進みたいのか──。岐路を前にして立ち止まって考える。
安楽宙斗は八千代高に通う17歳の高校2年生 photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る それは、オリンピアンになることが決まっている安楽選手であっても同じだ。ただ、安楽選手は自身としっかり向き合えないことに、ジレンマを抱えているという。
「進路志望はそろそろ決めないといけないんですけど、まだ迷っていて。迷うというか、なにも考えられなくて......。
卒業後はクライミング一本で、と思っても、『将来を決めるのは、大学を出てからでもいいんじゃないか』って親からアドバイスされると『そうだよな』ってなっちゃう。じゃあ大学進学ってなっても、大学で何を学びたいのか、ぜんぜん思い浮かばなくて。萩野公介さんにお会いする機会があったんで、『どうやって決めたんですか』って聞いたんです」
競泳日本代表として2016年リオデジャネイロ五輪・男子400メートル個人メドレーで金メダルを獲得した萩野さんが最初にオリンピックに出場したのは、作新学院高校3年生だった2012年ロンドン五輪。高校生オリンピアンとして進路志望を経験した"先輩"である。
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著者プロフィール
津金壱郎 (つがね・いちろう)
フリーランスライター・エディター。大阪万博年生まれ。東京都出身。出版社での雑誌やMOOKなどの編集者を経て、2000年からフリーランスに。スポーツクライミングの取材歴は2013年から。近年はMリーグにハマっている。