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進学校に通う金メダル候補、安楽宙斗17歳の悩み「同級生はすでに受験勉強をしている人もいて...」 (2ページ目)

  • 津金壱郎●取材・文 text by Tsugane Ichiro

【オリンピックが1年ずれてくれたらなあ...】

「萩野さんは、たくさんの選択肢ができるように準備したそうなんです。萩野さんが日本代表を決めたのはオリンピックイヤーの4月で、それまでは競技に集中して。もし日本代表になれなかった時に迷わないようにって。それでロンドン五輪に出たあと、用意しておいた選択肢からいろいろ考えて東洋大学に決めた──とアドバイスしてもらって。

 それを聞いて『なるほど!』と思ったんです。だけど、自分自身に当てはめてみたら、そんな器用なことができるタイプじゃないなあって(笑)。クライミングのことを考えだしたら、そればっかりになっちゃいますから」

 安楽選手が進路に悩むのは、目の当たりにする同級生たちの姿にもあるようだ。

「同級生はだいぶ決めていて、すでに受験勉強をしている人もいて。なのに、僕はまだ決めきれず......。決めなきゃいけない時期なんで『決めた!』と思っても、日が変わると考えが変わっちゃう。

 夏にはオリンピックがあって、そこに向かって全力で集中したいのに、進路のことも考えなきゃいけない。オリンピックが1年ずれてくれたらなあ......とさえ思っちゃいます」

 安楽選手が通う千葉県立八千代高校は、県下で進学校として知られている。高校受験の頃は、将来は何を目指していたのかを尋ねると──。

「将来の目標があったわけではなかったです。高校生の間にクライミングのワールドカップに出たいなあ......って思っていたくらいで。ただ、高校受験はその結果によって人生が大きく変わるくらい壮大なものだって思い込んでいたので、めちゃめちゃ勉強しました」

 安楽選手はユース年代の国内大会・世界大会で結果を残してきたが、受験勉強の最盛期にクライミングジムに行くのは週1回で2〜3時間ほど。それ以外はずっと勉強に打ち込んで、見事に志望校に入学。そこからの2年間の学校生活を振り返ってもらった。

「高校1年生の時は普通の学校生活でした。日本代表ではなかったので、国内大会は週末なのでちゃんと学校に通っていました。世界ユース大会で優勝してもニュースに取り上げられるわけではないので、学校の人たちも知らなかったんじゃないかな」

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