北村寧々が明かす女子ボートレーサー特有の悩みと人気ゆえのプレッシャー「なあなあでやらない。後悔したくない」 (3ページ目)

  • キンマサタカ●取材・文 text by Kin Masataka
  • 栗山秀作●撮影 photo by Kuriyama Shusaku

【英気を養うためのオフの過ごし方】

 レース開催中は、前日に会場入りしてモーターの抽選を行ない、レースに備える。ボートレース場に入った瞬間からずっと気持ちが張り詰めているので、最終日が近づくと、どっと疲れが出るという。そんな時は、レースが終わった後のことを考えて乗りきる。

 オフの楽しみは旅行だ。愛車のバイクで九州をツーリングしたり、あるいは友人と温泉に行ったり。時間があれば、必ずどこかに出かける。もちろん自分でハンドルを握る。今の夢は北海道にツーリングに行くことだ。普段の息抜きはおいしい食事と酒。自炊もするが、やはり外食が一番の楽しみだ。

「好きなご飯は焼き肉。中でも塩ホルモンが好きですね」

 トレーニングが終わったあとの一杯は格別だ。最初はビールを頼んで、2杯目からはサワー、梅酒と杯を重ねる。「酒は嫌いではない」と笑うが、こうして謙遜するタイプは酒豪であることも多い。

「いえいえ(笑)。家では飲まないから、外ではしっかり飲んじゃうのかも」

 酒が翌日まで残らないようにセーブはする。それはプロ選手としての最低限の嗜み。だが、焼肉のあとにデザートを食べに行ったり、締めのごはんを求めてハシゴすることもあるという。彼女はまだ21歳の若者なのだ。そうやって心と体をリフレッシュして、次のレースへの英気を養う。

 デビューから3年目を迎え、今年はB1級からA2級に上がるという明確な目標ができた。

「スタートがもう少し安定したらA2にはいけると思います。でも、その上の壁が高いですね。でもせっかくボートレーサーになったんだから、一番上を目指して頑張ります」

 今年はGⅡレディースオールスターに選ばれるなど、北村の人気は着実に高まっている。舟券が売れれば、全国のレース場から声がかかる。人気に伴った実力をつけなければいけない。そのプレッシャーを力に変えられる時、もっと活躍することができる。小さな体に大きな期待を乗せて北村は走り続けている。

【プロフィール】
北村寧々(きたむら・ねね)

2001年9月28日生まれ、長崎県出身。B1級のボートレーサー。高校を卒業後に養成所に入所し、2021年5月に地元・長崎のボートレース大村でデビュー。 長崎支部で8人目の女性ボートレーサーとしても注目を集めている。師匠はA2の男子ボートレーサー宮本夏樹。

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