北村寧々が明かす女子ボートレーサー特有の悩みと人気ゆえのプレッシャー「なあなあでやらない。後悔したくない」 (2ページ目)

  • キンマサタカ●取材・文 text by Kin Masataka
  • 栗山秀作●撮影 photo by Kuriyama Shusaku

【期待の大小で揺れ動くメンタル】

 昨年のSG(ボートレース界最高峰のレース)覇者となった遠藤エミをはじめ、男子レーサーと対等に渡り合っている女子レーサーはたくさんいる。北村が憧れるのは、香川県出身の中村桃佳だ。学生時代に少林寺拳法で四国2位という成績を残しており、現在はA1級で活躍を続けている。

「中村選手のレースを見ていると、強気な感じが伝わってくるんです。『絶対にここは無理だ』というとこから出てきたり、他のレーサーがちょっとでもミスをしたら、それを絶対に逃さない」

 A1のレーサーたちは、取れるレースは絶対に勝つ。一方の北村は「プレッシャーに弱いタイプ」。それが目下の悩みだという。

「レース本番では、ボートレース場の控え室にテレビが置いてあってそれを見るんですけど、自分の舟券が売れてるとすごくプレッシャーを感じますね」

 苦手な枠順で、さらにモーターの調子もよくない。それなのになぜか舟券が売れている。その様子がレース前の北村の目に飛び込んでくる。なぜかといえば、北村の人気によるところが大きいのだが、結果が伴わなければすぐにファンは離れていく。「結果を出さなければ」というプレッシャーに毎度押しつぶされそうになる。

逆に信頼度が低い時も、自身の不甲斐なさを感じる。たとえば5月のレースで1コースからの1着になった時には、1-4-5という結果で三連単の配当は9910円。強い選手が1コースの時はひと桁オッズになることも珍しくないボートレースでは、北村のインはまだまだ信頼されていないということだ。

 プレッシャーに勝とうと思っても、自分自身が押し潰されては意味がない。のどかな田舎で育った彼女の現在のルーティンは、自分にストレスを与えず、マイペースでいること。そうすると自ずといい結果がついてくる。

「自分のリズムを崩したくないです。そして、1走を大事にして、絶対に"なあなあ"でやらないこと。後悔したくないですから」

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る