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スマイルジャパンOGが語る後輩たちの大躍進。要因は若手の成長と得点力不足の解消 (3ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by JMPA

【信頼されていたファーストセット】

 一次リーグでは体格で上回る欧州勢から3勝。特にスウェーデンは、ソチ、平昌といずれも初戦で負けていた相手だった。勝因のひとつに選手の経験値が上がったことが挙げられる。

「ソチや平昌に出た経験のある選手たちが、1試合目から落ち着いてプレーしていたことで、チームが締まった部分はあったと思います。ソチのときは、どこかフワフワしていた部分もありましたし、たとえばスウェーデン戦なんて、ほとんどDゾーン(ディフェンスゾーン)から出られなかったような記憶があります(苦笑)。その点、今回は堂々と戦っているのが印象的でした」

 そして、大会を通して目についたのは若手の成長と、長く日本の課題とされてきた得点力不足の解消だった。

「亜矢可と秦留可の床姉妹、葵と紅音の志賀姉妹、それに浮田留衣で組んだファーストセットは、フィンランドに対しても十分戦えていました。これまでは基本メンバーを4セットで回すことが多かったのですが、今回はそのファーストセットを軸に、基本3セットで、場合によっては2セットで回しているんじゃないかと思うほど、(ファーストセットの選手が)出場していた。大会を通して出場時間が多かったのは、彼女たちが信頼されているからこそだと思います。

 紅音はもちろん、攻撃の中心だった秦留可(24歳)と浮田(25歳)もまだ若いのに、本当に頼もしかった。一次リーグでは、数的有利なPPからもうまく得点につなげていましたし、PPの精度もかなり向上したように見えました。

 もちろん、ファーストセットだけじゃなく、GKの藤本那菜は好セーブ連発で、チェコ戦のGWSで唯一の得点を決めた英恵さん(久保)もさすがでした。高涼風、小山玲弥、主将の大澤ちほで組んだFWのサードセットも、決してサイズの大きい選手ではないですが、常にハードワークしていましたし見ていて本当に胸が熱くなりました」

 足立さんが指摘する通り、最も高い得点力を誇ったファーストセット。たとえばDFの床亜矢可と志賀葵は一次リーグ4試合中3試合で出場時間が30分を超え、床秦留可や浮田もほとんどの試合で30分近い出場時間を記録した。特定の選手に頼ることは選手層の薄さの裏返しとも言えるが、若い力の台頭は、今後のスマイルジャパンの明るい兆しと言っていいだろう。

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