スマイルジャパンOGが語る後輩たちの大躍進。要因は若手の成長と得点力不足の解消 (2ページ目)

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by JMPA

【フィンランド戦でも好プレーが】

 足立さんは、早々に2点をリードされてしまったのが痛かった、と話す。

「フィンランドの攻撃を十分警戒していたと思いますが、序盤の2点で流れを持っていかれてしまった気がします。フィンランドはスケーティングのスピードが速く、パスの精度も高い。フェイスオフからのセットアップもいろいろなパターンがあって、守っても前線からのバックチェックが早く、日本がやりたいようなホッケーをやられてしまった。ゴール前の迫力やゴールへの執着心はもちろん、シュートもそこしかないという角度やコースに決めてきて、本当に強かったです。

 一次リーグでもパックを相手に支配される展開はありましたが、危ないところでシュートを打たせず、インサイドは全員で守ることが徹底されていた。そのうえで、数的優位となるパワープレー(PP)で効果的に得点を奪って勝ってきたのですが、フィンランドは寄せが早く、なかなか思い通りに攻撃させてくれませんでした。失点の場面でも相手のスピードにマークをはがされ、対応できない場面がありましたね」

 最終的に点差はついてしまった。それでも、8年前、4年前と比較すれば、スマイルジャパンの戦い方は大きく進歩していたと、足立さんは強調する。

「(フィンランド戦の)得点シーンは(相手ゴール前で)3対1と数的有利な場面で、右サイドから20歳の志賀紅音が決めましたが、私たち世代の選手なら、あそこまでのシュート力がなく、パスを選択してしまう場面だったと思います。GKは中央へのパスも警戒していて意表をつかれたと思いますし、ああいうところでシュートを打てるのが紅音の強みです。

 私が現役時代、代表合宿で彼女と同部屋になったことがありました。若い選手は、日本人相手でも最初は練習で吹っ飛ばされてしまったりするものですが、彼女には最初から力強さがありました。当時はDFの選手だったのですが、のちにシュート力を買われてFWにコンバートされました。DFからFWへのポジション変更は簡単ではなかったと思いますが、本当に成長を感じました。

 それ以外にもチャンスはありました。1点を返したあとの第2ピリオドは、米山知奈、山下光らのFWのセカンドセットで惜しい場面もありましたし、そこで得点できれば流れが変わっていたかもしれません。もちろん、そこを突いて逆に得点してきたのがフィンランドだったのですが......」

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