稀勢の里、貴景勝...注目力士たちの勝算は?錣山親方が占う初場所 (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 12月の冬巡業はすべて休んで、初場所に向けて部屋で調整をしていたと聞いていましたが、1月7日の横綱審議委員会稽古総見での様子を見る限り、正直「厳しいかな」というのが、私の見解です。実際、場所が始まって2連敗と、早くも苦しい状況を迎えています。

 稀勢の里が8場所連続休場に追い込まれた原因は、左肩と左胸の負傷です。元来、左四つが得意の稀勢の里は、左が使えないことで苦戦してきました。

 ならば、相撲の理論とは反することかもしれませんが、私はあえてケガをしていない右を使って攻めてみてはどうか、と思っています。このまま、ケガをしているほうを相手にぶつけていっても、いい結果につながらないのではないか、と。

 稀勢の里の矜持、横綱としてのプライドなど、彼自身に信念があることもわかっていますが、思い切った対策を講じることも必要なのではないか、と少なからず感じています。

 一方、先場所は全休だったふたりの横綱、鶴竜と白鵬は場所前から元気な姿を見せていました。

 稽古を見ていて、とりわけよく見えたのは、鶴竜です。よく前に出ていましたし、苦しくなってくると"引く"悪い癖も少なくなっているように感じました。2日目に黒星を喫したものの、"連敗癖"が解消されれば、初場所の優勝候補筆頭と見ています。

 2番手は、大関・豪栄道です。私は、毎場所のように優勝候補に挙げていますが(笑)、それぐらい力がある力士なんですよ。

 九州場所でも休場した3横綱の穴を埋めるかのように、11日目に勝ち越すなど、地味ながら優勝戦線の一角にいました。ところが、ケガのために12日目から休場。そうなってしまったことについては、本人が一番歯がゆく思っていることでしょう。

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