稀勢の里、貴景勝...注目力士たちの勝算は?錣山親方が占う初場所

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

元寺尾・錣山親方の『鉄人』解説
~2019年初場所編

現役時代は回転の速い突っ張りで、39歳まで土俵を務めた元関脇の寺尾。引退後、2004年1月に錣山(しころやま)部屋を創設し、小結・豊真将(現・立田川親方)らを育てた。そして現在も、若手ホープの阿炎(あび)らを厳しく指導している。また、かつては審判部の委員として、土俵下からすべての力士たちの取組に目を光らせていた錣山親方。今なお、各々の力士の特徴や成長度合いなどをつぶさにチェックしている。そんな親方に、1月13日から始まった大相撲初場所(1月場所)の行方を占ってもらった――。

 新年、あけましておめでとうございます。

 2019年も、より多くの方々に大相撲を楽しんでいただければと心から願っております。この『鉄人解説』では、そのためのちょっとした手助けができればいいなと思っています。どうぞ、よろしくお願いいたします。

「崖っぷち」稀勢の里の巻き返しはあるか「崖っぷち」稀勢の里の巻き返しはあるか さて、この初場所(1月場所)でみなさんがもっとも注目している力士は、やはり横綱・稀勢の里でしょう。

 昨年の秋場所(9月場所)では、8場所連続休場を経て久しぶりに皆勤。10勝を挙げて、復調をアピールしました。そして、その直後の九州場所(11月場所)では、さらなる躍進が期待されていましたが、私は世間が思うほど楽観視はしていませんでした。このコラムでも、「秋場所で10勝したものの、優勝するのは難しい。場所をどう乗り切るかに注目したい」と、述べさせていただきました。

 すると、予想以上に厳しい現実が、稀勢の里には待っていました。本人は自信を持って本場所に臨んでいましたが、初日に(優勝した)小結・貴景勝に敗れると、そのまま4連敗。右ヒザ捻挫によって、途中休場を余儀なくされました。結果的に、場所を乗り切ることさえできなかったことは、本当に残念でした。

 はたして、初場所ではどうなのか。

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