【ロンドン便り】英国メディアが冷静に批評する「関塚ジャパンの実力」 (2ページ目)
BBCのハイライト番組では、今大会のサッカー日本男子の躍進が「幸運」によるものであると分析された。大会前から下馬評の低かった日本は、1次リーグを首位通過したことでブックメーカーの優勝オッズがブラジルに次ぐ2位に急上昇してはいたが、この快進撃について「対戦チーム側の数奇な運命が結果に作用していた」と評したのは、英ミラー紙の記者ホルト氏だ。同氏はエジプト戦直後の番組で次のように分析していた。
「日本は1次リーグから運を味方につけていた。スペイン戦では絶不調の相手に不運な退場も重なり、エジプト戦でも相手が退場者と交代枠使用後の負傷者を出して自滅するという運に恵まれた。エジプトと2戦目のモロッコは、ラマダン(=断食中)という要因もあった。今大会では、セネガルとUAEを含む4チームがラマダンの影響を受けており、エジプトもまた、本調子にはほど遠かったと言える。メキシコ戦では日本の真の実力が見られるだろう」
日本は、初戦でスペインに勝利すると続くモロッコ戦にも勝って2連勝。早々にグループリーグ通過を決め、第3戦のホンジュラス戦では過密日程を考慮して、主力を休ませることもできた。そして、エジプトとの準々決勝では、日本の前半のプレイは評価もされていた。前述のキーオン氏は、「日本は要所で巧みなパス回しを見せた。ボールを失った後も、素早く自陣に戻り、人数をかけて守備をしていた。ボールの取りどころを選び、前線から素早いプレスをかけ、ボールを奪っていた」と称賛。とはいえ、エジプトも断食中だっただけに、ここでも「運が味方した」と英国メディアは手厳しかった。
それでも、10日にカーディフで行なわれる日本対韓国による3位決定戦について、キーオン氏は、「英国に競り勝った韓国と日本の東アジア対決は、ブラジル対メキシコの決勝戦同様、欧州ではなかなか見られないスタイルの試合が予想される。面白いものになるだろう」と期待を寄せる。
日本の銅メダル獲得のカギを握るのは、精神面、身体面において、いかにして準決勝の敗戦ショックから立ち直り、万全な準備を整えられるか。
コリアタイムズ紙は「初の五輪メダルを懸け、永遠の宿敵日本と対戦」という見出しを付け、3位決定戦について、「メダル獲得は兵役免除というボーナスが付く。海外のクラブは兵役を煙たがって(韓国人選手と)長期契約を結ばない傾向にあるが、ここでメダルが獲れれば、その問題も解決するだろう」と、選手のモチベーションが高まっていると報じている。
一方で、英国メディアが評したような「幸運」を、日本はまた呼び込むことができるのか、注目が集まる。
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