2012.08.03

【ロンドン便り】想定内?想定外?
住民に大不評の五輪期間中の現地交通事情

  • 藤井重隆●取材・文 text by Fujii Shigetaka
  • photo by Fujii Shigetaka

ロンドンの地下鉄構内に張り出された渋滞緩和を呼びかけるポスター ロンドン名物である電車の遅延、交通渋滞が連日のように続いている。

 五輪開会式が行なわれた週末は、大会前から注意を再三呼び掛けたことで、ロンドン市民が夏休みで海外へ出かけたり、混雑を懸念して自宅に引きこもったこともあり、目立った問題は起こらなかった。だが、週明けの月曜、大会3日目から悪夢を予感させる惨事が続けざまに起こった。

 通勤ラッシュ時に五輪会場周辺で渋滞が多発し、電車も地下鉄も信号機の故障などの影響で大幅に遅延。大会4日目の朝にはオリンピックパークのあるストラトフォードと街の中心部を結ぶセントラル線が停止。車掌が火災報知機をあやまって作動させてしまい地下鉄を止めたという何ともお粗末な迷惑事故だった。

 ロンドン中心部とオリンピックパークを7分で結ぶ高速鉄道「ジャベリン」も、男性が線路に侵入した影響で遅延する騒ぎがあった。こうしたニュースは地元住民にしてみれば想定内の「日常茶飯事」の出来事なのだが、慣れていない観光客にとってはたまったものではない。

 ロンドンの地下鉄は1863年開業で世界一古く、地上を走る鉄道が初めて敷かれたのも1820年代の事。そんな歴史ある国の電車は、当然最新式なのでは?と思いたくなるのだが、まったくそんなことはない。むしろ古いまま使い続けてきたため、毎週のように線路や信号機の整備と故障が繰り返されているのだ。

 日本のように精密な時刻表などなく、ほとんどの乗客が通勤ラッシュ時に遅延を経験している。さらに地下鉄には空調整備がないため、猛暑の夏を迎えようものなら、地下は熱気に包まれ汗だくになる。さらに終電間際には必ずと言っていいほどプラットフォームにはネズミが出る。「遅い、汚い、暑い、止まりやすい、常に満員」という5つの悪条件は「当然の事」として市民も諦めているほどだ。